愛知県における「イワイノダイチ」を用いた小麦作期の前進

タイトル 愛知県における「イワイノダイチ」を用いた小麦作期の前進
担当機関 愛知県農業総合試験場
研究期間 1997~2001
研究担当者 井澤敏彦
加藤恭宏
小出俊則
杉浦直樹
谷俊男
池田彰弘
発行年度 2001
要約 イワイノダイチは、農林61号より出穂期で6日、成熟期で2日程度早い早生小麦である。また、秋播性で、10月下旬の早播きをしても凍霜害を受けることがなく、11月下旬播種の農林61号より10日程度の成熟期の前進が可能であり、梅雨前収穫、作業分散に有効である。
キーワード イワイノダイチ、早生小麦、早播き、凍霜害、前進
背景・ねらい 愛知県の小麦作付面積は5,627ha(平成12年播種)で増加傾向にあり、担い手となる大規模農家への集積も進んでいる。しかし、品種構成は「農林61号」が99.8%と集中している。「農林61号」は、熟期が遅いため、成熟期の降雨による収穫作業の遅延、品質の低下並びに跡地利用の制限が問題となる。
そこで、九州農業試験場の育成した秋播性早生小麦「イワイノダイチ」の愛知県での播種期別の適応性を調査し、小麦作期の前進の可能性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 愛知県での標準播種期である11月下旬播種で、「イワイノダイチ」は、「農林61号」より出穂期で6日、成熟期で2日早い。また、収量性は「農林61号」より高く、外観品質も硝子粒、未熟粒の発生が少なく優れる(表1)。
  2. 10月中~下旬の早播栽培を行った場合、「はつほこむぎ」「農林61号」では凍霜害による幼穂の枯死が確認されたが、「イワイノダイチ」ではみられない(図1)。
  3. 10月下旬の早播き栽培の場合、「イワイノダイチ」は、標準播種の「農林61号」対比96%の収量が確保でき、外観品質が優れる(表1)。
  4. 早播きすることで、蛋白質含有率が低下するものの、「イワイノダイチ」の製粉歩留は標準播種の「農林61号」と同等、製めん適性はより優れる(表2)。
  5. 「イワイノダイチ」の播種期を10月下旬まで早めることにより11月下旬播種より8日成熟期が早まり、11月下旬播種の「農林61号」とは10日の成熟期差を生じさせることができる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 早播き栽培の「イワイノダイチ」と標準播種の「農林61号」の成熟期差は年次により6~12日の変動がみられた。
  2. 「イワイノダイチ」の早播き栽培における高品質安定生産技術を確立する必要がある。
  3. 「イワイノダイチ」の奨励品種の採否は、製粉・製めん適性の年次・産地間変動及び耐穂発芽性を確認し、実需者との協議により決定する。
図表1 216561-1.gif
図表2 216561-2.gif
図表3 216561-3.gif
図表4 216561-4.gif
カテゴリ 硝子粒 小麦 播種 品種

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