酒造好適米用水稲新品種「総の舞」の育成と奨励品種採用(予定)

タイトル 酒造好適米用水稲新品種「総の舞」の育成と奨励品種採用(予定)
担当機関 千葉工試
研究期間 1993~2001
研究担当者 加藤茂宏
小山豊
星野徹也
西川康之
中田裕之
長島 正
渡部富男
飯嶋直人
林 玲子
和田潔志
発行年度 2001
要約 酒造好適米用品種「総の舞」は、早期栽培での熟期が中生で、耐倒伏性、いもち病抵抗性及び耐冷性が強い。玄米千粒重は26gで粒厚が厚く、多収である。心白発現率は70~90%で、心白はやや小さく、酒造適性に優れるため奨励品種に採用する。
キーワード 総の舞、早期栽培、酒造好適米、耐倒伏性、いもち病抵抗性、耐冷性、多収
背景・ねらい 千葉県の平成12年産酒造好適米用品種(以下,酒米品種)の作付面積は、奨励品種の「若水」を主体に奨励品種外の他県育成品種を含めて38ha、生産量は約200tである。県内の酒造メーカーは使用する約600t/年の酒米の多くを県外から購入しているが、千葉県独自の酒米品種を使った清酒の醸造を望んでいる。一方、一部の生産者では付加価値の高い酒米生産への要望が強く、生産した酒米を地元の酒造メーカーに供給し、純千葉県産の清酒を醸造、販売する試みも始まっている。しかし、奨励品種の「若水」は早期栽培では熟期が遅く、水利条件から栽培地域が限られる。また、千葉県産の「若水」は心白が大きく、吟醸酒用原料に適さないほか、浸漬時に割れがみられること、吸水速度が早いこと等酒造適性がやや劣る。そこで、千葉県では酒米を地域特産米に位置づけ、「はなの舞い」並の早生から「コシヒカリ」並の晩生の熟期で、栽培特性に優れ、早期栽培の高温登熟下で良質多収な酒米品種の育成を行う。
成果の内容・特徴
  1. 「総の舞」は早期栽培向け、良質、多収を育種目標として、1993年に「白妙錦」に「中部72号」を交配して世代促進育種法による集団養成、個体選抜及び系統選抜により2001年に育成された品種である。生育・収量及び品種特性は表1のとおりである。
  2. 早期栽培における出穂期は「コシヒカリ」より9日早く、成熟期は13日早い中生種である。
  3. 稈長は80cmで耐倒伏性は「やや強」、穂数は「若水」より多い平方メートル当たり400本で偏穂重型である。
  4. いもち病抵抗性は葉いもち「中」、穂いもち「強」、耐冷性は「強」、穂発芽性は「極難」である。
  5. 玄米千粒重は「若水」並の26gだが、粒厚は厚く(表3)、精玄米収量は20%多い。
  6. 心白発現率は70~90%で、心白の大きさは「若水」より小さく、線状に発現する。
  7. 「若水]に比べて精米歩合70%の砕米率は小さく、白米の吸水性は20分でやや小さい。
  8. 粗蛋白含有率は「若水」よりやや高いが「山田錦」並で、蒸し米の消化性は「山田錦」並に低く(表2)、小仕込試験による発酵過程は「山田錦」と同程度に良好である(データ省略)。
  9. 現地醸造試験では精米歩合50~60%、低温長期もろみで吟醸造りを行った結果、もろみは糖化と発酵がバランス良く進行して香味の調和のとれた酒質となり、「総の舞」の酒造適性には実用上問題はないとの評価を得ている。
成果の活用面・留意点
  1. 「総の舞」は「千葉県で育成し、かつ、千葉県で生産した酒米品種で吟醸酒を醸造したい」という酒造メーカーの要望に応える品種であり、地域特産米として普及を図る。
  2. 多肥栽培は玄米千粒重及び心白発現率を低下させるので土壌条件に応じた肥培管理を行う。
図表1 216567-1.gif
図表2 216567-2.gif
図表3 216567-3.gif
カテゴリ 育種 いもち病 酒造好適米 新品種 水稲 抵抗性 肥培管理 品種

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