複二倍体シクラメンの作出と香気成分の分析

タイトル 複二倍体シクラメンの作出と香気成分の分析
担当機関 花き
研究期間 1987~2004
研究担当者 佐々木慶次
細川浩太郎(小川香料株式会社)
植松盾次郎(旧埼玉園試)山田秀基
石坂宏
発行年度 2001
要約 栽培種(Cyclamen persicum 2n=2x=48)と野生種(C. purpurascens 2n=2x=34)の交配、胚珠培養、染色体倍加により種子稔性のある複二倍体(2n=4x=82)を作出し、香気成分を分析した。花の香りが良い数系統の複二倍体を選抜し、系統間交配と選抜を継続している。
背景・ねらい シクラメンの栽培種(Cyclamen persicum)には二倍体品種(2n=2x=48)と四倍体品種(2n=4x=96)があり、完成度の高い鉢物花きとして発達してきたが、花の香りが乏しい。C. persicum以外の野生種の中には園芸的な価値は低いが、花に芳香を持つ野生種(C. purpurascens,2n=2x=34)がある。C. persicum(二倍体品種)とC. purpurascens(野生種)の交配と染色体倍加により、複二倍体を作出し、両親と複二倍体の香気成分を明らかにする。さらに、栽培シクラメンと同等の草姿で花に香りがあるシクラメンを作出する。
成果の内容・特徴
  1. 二倍体品種と野生種との交配、胚珠培養、染色体倍加により稔性があり、草姿が栽培シクラメンに近く、花の香りが野生種に近い複二倍体ができる(図1)。
  2. 栽培種、野生種及び種間雑種の花からヘッドスペース法で香気成分を捕集し、ガスクロマトグラフ/マススペクトルにより分析すると、栽培種、野生種に特有の成分が検出できる。
  3. 栽培種に特徴的な成分としてベータ-カリオフィレン(No.3)、フムレン(No.4) 、アルファ‐ファルネセン(No.5)が検出できる。野生種に特徴的な成分としてシトロネロール(No.10)、シス-、トランス-シナミックアルコール(No.11,12)及びエステル類(No.15,16,17)が検出できる。複二倍体の花から野生種に特有の香気成分が検出できる(表1)。
  4. 栽培種の花は「乾燥木材」様の香りがする。野生種の花は「バラ、ヒアシンス」様の香りがする。複二倍体の花は野生種に近い香りがする(データ省略)。
  5. 複二培体の草姿は栽培シクラメンと同様であり、花色は白とピンクで花の香りは野生種に近く、安定している。このままでも実用品種として使えるが、これらの系統間交配によりさらに花色の拡大を検討中である。現在、F4世代を栽培中である。F3世代で集団の揃いが良い系統を図2に示す。
成果の活用面・留意点
  1. シクラメンの香気成分の分析は今後の試験の参考となる。
  2. 複二倍体の生育反応は従来のシクラメンと異なるため、さらに栽培試験が必要である。
図表1 216598-1.jpg
図表2 216598-2.gif
図表3 216598-3.jpg
カテゴリ 乾燥 シクラメン ばら 品種

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