タイトル | 堆肥化施設から発生する臭気の薬液脱臭とその廃液のリサイクル |
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担当機関 | 岐阜畜研 |
研究期間 | 2000~2001 |
研究担当者 |
伊藤 元 水川 誠(中濃農改セ) |
発行年度 | 2002 |
要約 | これは水稲等の液肥に利用できる。また、粉状堆肥と混合して顆粒状とする成型加工により、広域流通できる。 |
キーワード | 堆肥化、臭気対策、硫酸スクラバー装置、脱臭廃液、液肥、水稲、成型化 |
背景・ねらい | 家畜ふん尿や生ごみの堆肥化過程で発生するアンモニアガスを主体とした臭気は、硫酸で効率よく吸収できる。この脱臭廃液の主要な成分は、硫酸アンモニウムと考えられ、農業への利用法が確立できれば、臭気を窒素肥料として資源化できる。 液状での利用は、輸送や貯蔵法に制限があるため固形状にする研究に取り組む。この際、堆肥の利用に関して、もう一つの短所である「ほこりっぽい」点を解決する手段として、製品堆肥の粉状部分を利用する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 堆肥化処理施設のフローチャートは、図1に示すとおりである。1日の処理量は4.9tであり、その内、鶏ふんが64%、生ごみが27%、残りはその他の畜ふんと水分調整用資材であった。 2. 発生するアンモニアの97%は、硫酸スクラバーで回収でき、アンモニア態窒素量を濃度と流量から試算すると約50kg/日となった。脱臭廃液1L中には、窒素が約75g含まれていた。これを硫安に換算すると約350gとなり、肥料として価値がある(表1)。 3. 液肥中の窒素濃度の簡単な測定方法として、その比重から換算できることがわかった。 y=514.1x-525.5 R2=0.971 y:窒素濃度(g/L) x:比重 4. これらの成績から、1万羽規模の養鶏農家では、1日当たりの硫酸使用量は25Lと試算でき、この経費は760円となった。 5. 脱臭廃液を近郊の水田(13a)で、水稲(あさひの夢)の追肥として水口から流下した。10アール当たりの使用量は、合計40L(窒素として3.3kg)であり、水田に入ることなく施用できた。収量は、10a当たり600kgとなり、県内の平均値(480kg)を上回った。食味値(SHON)は地域内の同一品種と比べ良かった(表2)。 6. 脱臭廃液と製品堆肥の粉状部分(2mmのふるいを通ったもの)を利用し、顆粒状成型堆肥を製造した(図2)。 7. 顆粒状に成型された堆肥には窒素が6.8%含まれ、この内無機態窒素が5.1%(窒素の75%)であった(表3)。成型・乾燥コストは、電気料金(@21円/kwH)が約14円/kgと試算できた。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 脱臭廃液は、窒素肥料として価値が認められた。薬液脱臭法の難点である廃液が、リサイクルできたことにより、効率の良い薬液脱臭法が普及する。 2. アンモニアガスの吸収に利用した硫酸は、希硫酸ではあるが、その濃度は75~78%ある。農家は、業務上取扱者(非届出業者)となるが、毒物劇物取扱責任者の設置に関する規定は、準用されない。しかし、漏えい時や出火時の措置法が決められている。 3. 脱臭廃液には、極微量の硫酸が残っており、利用後には機械等の腐食に注意すること。 4. 顆粒状成型堆肥の利用について、窒素に関しては、当初含まれる無機態窒素のみを評価すれば良い。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 加工 乾燥 コスト 水田 水稲 鶏 品種 輸送 良食味 |