タイトル | 土壌還元消毒法による施設栽培トマトの土壌病害虫防除 |
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担当機関 | 応用昆虫研究室 |
研究期間 | 1999~2002 |
研究担当者 |
久保周子 片瀬雅彦 牛尾進吾 大塚英一 山本二美 栗原大二 福地信彦 竹内妙子 金子文宜 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 6~9月にフスマ1 t / 10 aを作土層に混和後、透明フィルムで被覆し、圃場容水量以上になるよう灌水後、約20日間ハウスを密閉することで土壌が還元消毒され、トマト褐色根腐病及びサツマイモネコブセンチュウの防除ができる。 |
キーワード | フスマ、土壌還元消毒、トマト、褐色根腐病、ネコブセンチュウ |
背景・ねらい | 千葉県の基幹作物である施設栽培トマトでは、連作により土壌病害虫が多発しており、土壌消毒剤が多用されている。環境保全型農業に対する関心が高まる中、2005年の臭化メチル全廃を契機に、生産現場から新たな視点に立った土壌病害虫防除対策が強く要望されている。そこで北海道立道南農業試験場がネギ根腐萎凋病を対象に開発した土壌還元消毒法を改良し、千葉県におけるトマトの主要土壌病害虫に対する防除効果を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 土壌還元消毒は1 t / 10a程度のフスマを深さ15~20cmまでの土壌と混和後、全面に灌水できるように灌水チューブを設置し、透明フィルムで被覆する。圃場容水量以上になるよう灌水した後、ハウスを密閉し、深さ15cmで30℃以上の地温が得られる状態で約20日間保持する。さらに、土壌の深さ40cmまでの消毒を目的とする場合には、深さ40cmまで2 t / 10a程度のフスマを混入することで可能となる。 2. 千葉県における消毒可能な処理時期は、6~9月である。 3. 千葉県の代表的な土壌である火山灰土、砂質土、壌粘質土、重粘質土のいずれでも、土壌還元消毒を行うことができる。 4. 土壌還元消毒によるトマト褐色根腐病の防除効果は高く、2年目のトマト作まで持続効果が認められる(表1)。 5. 土壌還元消毒によるサツマイモネコブセンチュウの防除効果は、消毒後1作目で認められる(表2)。 6. トマト萎凋病、根腐萎凋病に対する防除効果は完全ではない。また、青枯病に対する防除効果は不安定であり、モザイク病(ToMV)に対する防除効果は認められない。 7. 土壌還元消毒に係る費用は、薬剤による場合とほぼ同等である(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. むらなく灌水し、一時的に圃場容水量以上の水がたまったことを確認する。 2. ハウス密閉期間中の追加灌水は、地温の低下をまねくので地表が乾燥した場合でも行わない。 3. 土壌還元消毒後はフスマを混入した深さまで耕耘し、土壌を酸化状態に戻してから作付ける。 4. 窒素施容量は作付け前に土壌のEC等を測定して決定する。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 病害虫 青枯れ病 害虫 乾燥 施設栽培 土壌消毒 トマト ねぎ 根腐病 病害虫防除 防除 薬剤 |