タイトル | 微量散粉型人工受粉機によるリンゴ「ふじ」の結実安定 |
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担当機関 | 富山農技セ |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
竹田隆浩 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 人工受粉機は10a当たりの使用精製花粉が20gで自然受粉との組み合わせにより、 結実果そう率80~90%を確保できる。また、含種子数が少なく小玉果がやや多くなるが、仕上げ摘果により改善が可能な範囲である。 |
キーワード | 人工受粉機、結実率、含種子数 |
背景・ねらい | 県内リンゴ主産地の魚津市加積地区では、受粉は専らマメコバチを利用してきたが、飼育しているマメコバチの増殖率の低下(鳥害等)、訪花昆虫の活動が天候に左右されることや「ふじ」に偏重した品種構成による受粉樹(品種)の減少等の要因から、「ふじ」の結実不良が問題となっている。このため、安定した結実を得るために背負い式微量散粉型人工受粉機(以下、人工受粉機)が導入されているが、その効果や効率的使用方法等が不明である。そこで、人工受粉機によるリンゴ「ふじ」の結実安定効果について明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 人工受粉機(H社製JH35型)を利用することにより、中心果の結実率は約60%、また果そう結実率は80~90%程度を確保することができる。(表1) 人工受粉機での受粉に必要な花粉量は10a当たり精製花粉20g(発芽率70%)で、石松子で容積比1:5に希釈して用いる。(乾燥粗花粉で約100~120gを石松子で重量比1:1に希釈)。 2. 人工受粉機では、含種子数が平均3個程度と少なく、手受粉に比較して小玉果が多くなる傾向にあるが、果実の大きさや形に注意して仕上げ摘果を行うことにより改善できる。(表2、図1) |
成果の活用面・留意点 | 1. 受粉に要する作業時間(散布時間)は、10a当たり25分(吐出量の設定3.5g/分:シャッター2,スロットル4)と極めて省力的で、経営面積が大きな生産者での補完的な受粉方法として活用できる。 2. 果そうの位置により結実に偏りがみられるので、花の位置に吐出方向を定め、必要な花のめしべに花粉が付着するよう配慮する。 3. 含種子数の少ない小玉果や変形果が多くなる傾向にあるので、花芽率60%以上で使用し、仕上げ摘果は慎重に行う必要がある。 4. 精製花粉20gを得るには、「さんさ」の花を用いた場合15,000花程度(生花で約5kg)必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 乾燥 経営管理 受粉 鳥害 品種 りんご |