牛ふん堆肥中の有機物割合の変化による熟度判定

タイトル 牛ふん堆肥中の有機物割合の変化による熟度判定
担当機関 静岡畜試
研究期間 1999~2002
研究担当者 阿部徹
芹澤駿治
大島貢
池田博保
藤井信吾
発行年度 2002
要約 オガクズ主体の牛ふん堆肥の堆肥化期間中の有機物割合は、発酵堆肥舎(スクープ式堆肥舎)内での一次発酵期間中にヘミセルロース主体分画の大部分が分解されるが、木質系の有機物が分解し始めるにはさらに約1年間程度の長期間を有する。堆肥中のNDF(中性デタージェント繊維)割合とC/N比では関連性が見られる。
キーワード 堆肥、ADF、NDF、C/N比
背景・ねらい 堆肥化における熟度判定法としては発酵温度やC/N比の変化、発芽試験等があるが、堆肥化過程において堆肥の大部分を占める有機物の内容の変化についても考察をさらに進めていく必要がある。そこで、固液分離した乳牛ふんを原料とし一次発酵をスクープ式堆肥舎で堆肥化し、以後は堆肥舎に堆積し生産した堆肥について、長期堆肥化過程での有機物割合の変化を飼料分析で行われているデタージェント分析法により測定し、有機物含有量の変化から熟度判定ができないか検討した。
成果の内容・特徴 1.
スクープ式発酵堆肥舎発酵期間中のNDF(中性デタージェント繊維)割合は減少傾向を示すが、ADF(酸性デタージェント繊維)は一時的に上昇した後減少する。(図1)
2.
NDFとADFの差で推定されるヘミセルロース主体分画は発酵堆肥舎内で大部分が分解されており、この分画は堆肥化の初期から速やかに分解消失する。(図1)
3.
スクープ式発酵堆肥舎発酵期間中のC/N比は減少傾向を示しており(図2)、この期間中の発酵温度も6日目に最高72.4℃に達し、期間中は60℃前後の高温を保持し堆肥化は順調に推移している。
4.
長期間の堆積発酵による堆肥化過程における有機物の変化は木質系の有機物が主体と推定されるNDF割合が再び減少を開始するには1年程度の期間を有する。(図3)
5.
堆肥の熟度判定の指標として利用されているC/N比とADF、NDFの値との相関性を検討した結果、今回の試験堆肥では、ADFでは有意性を判定できないが、NDFではy=0.7843x-30.98との単回帰式が成り立ち、R
2=0.8493と有意な関係が得られる。(図4)
成果の活用面・留意点 1.
オカクズ主体の牛ふん堆肥について検討したものであるので、他の副資材や畜種を混合したものについては、分析を行う必要がある。
2.
堆肥発酵施設の違いによって有機物分解速度が違うものと予想される。
3.
NDF及びADF分析法では堆肥を煮沸するため、堆肥中の無機物は操作過程で流失する。そのため、灰分量は常法で測定する粗灰分の測定値より低く測定される。
4.
NDF及びADFを近赤外分析計等で迅速分析することで、堆肥の一次発酵が終了しているかの熟度評価を行なえる可能性がある。
5.
長期堆肥化したオガクズ主体の牛ふん堆肥では、C/N比と(NDF-ADF)含量を併せて測定することで、より明確な熟度評価が可能となる。
図表1 217031-1.gif
図表2 217031-2.gif
図表3 217031-3.gif
図表4 217031-4.gif
カテゴリ 近赤外分析 乳牛

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