タイトル | チューリップ球根における異常裂皮症の原因 |
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担当機関 | 富山農技セ |
研究期間 | 2001~2002 |
研究担当者 |
多賀由美子 森井 環 守川俊幸 |
発行年度 | 2002 |
要約 | チューリップ球根の外皮が腐敗する異常裂皮症の原因はRhizoctonia solani AG 2-2 による皮腐病(新称)である。本病菌は葉腐病の病原菌R. solani AG 2-1 に比べて高温性で、葉腐症状を引き起こさない。 |
キーワード | チューリップ、球根異常裂皮、Rhizoctonia solani AG 2-2、皮腐病 |
背景・ねらい | 富山県内の一部の産地で球根外皮がボロボロに腐敗する病害が多発して問題になっており、早急な原因究明と防除対策の確立が求められている。そこで、本病の病原を特定するとともに、その特性や有効薬剤を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本病は球根の外皮に赤~茶褐色の病斑を生じ、病斑部から亀裂が入って著しく裂皮する。水洗後には病斑部が脱落し、球根鱗片が露出する。しばしば外皮病斑直下の第一鱗片にも淡褐色で周囲が褐色の陥没病斑が形成される。 2. 患部からはRhizoctonia solani AG 2-2が高率に分離され、接種によって原病徴が再現される(図1)。なお、本病は新しい病害であることから、「皮腐病(かわぐされびょう)」と呼称することを提案している。 3. 本病菌はチューリップ葉腐病菌R. solani AG 2-1とは異なり、顕著な葉腐症状は引き起こさない(図2)。 4. 葉腐病菌の生育適温は25℃前後であるのに対し、本病菌の生育適温は30℃前後とやや高温性である。 5. 本病菌はイネに対してイネ褐色紋枯病菌R. solani AG 2-2と同程度の病原性を示す(表1)。 6. 本病の発生はフルアジナム水和剤の植付け前球根消毒によって減少する(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本病菌以外にTrichoderma属菌などによっても外皮に褐色の小病斑を生じるので、診断する際は留意する。 2. 本病は新病害であるため、現在、登録のある防除薬剤は無い。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 チューリップ 防除 薬剤 |