タイトル | スラット床と噴霧消毒による肉用鶏舎内落下細菌数の低減 |
---|---|
担当機関 | 三重科技セ |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
伊藤英雄 巽俊彰 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 肉用鶏をポリプロピレン製スラット床で飼育することで、平床に比べ落下細菌数及びアンモニア濃度を低減させることができる。また次亜塩素酸ナトリウム・塩酸希釈混合水を噴霧することで、さらに落下細菌数を低減させることができる。 |
キーワード | 肉用鶏、スラット床、落下細菌、噴霧、アンモニア濃度 |
背景・ねらい | 鶏存在下での肉用鶏平飼い鶏舎内のサルモネラ拡散防止技術の開発を目的として、鶏体と鶏糞を分離する床面形状及び空中浮遊菌を殺菌する噴霧消毒に着目する。これまでに、この消毒法に適した消毒資材についての検討を行ったところ、次亜塩素酸ナトリウム・塩酸希釈混合水が適しており、その効果は残留塩素濃度、噴霧量及び環境中の菌量により決定されるものと考えられる。そこで、肉用鶏平飼い鶏舎内落下細菌数低減を目的に、床面形状及び次亜塩素酸ナトリウム・塩酸希釈混合水の噴霧消毒の検討を行う。 |
成果の内容・特徴 | コンクリート床に木材チップを敷料とした平床、ポリプロピレン製スラット(穴の大きさは8mm×28mm)を地上50cmに設置したスラット床、スラット床で毎日9時30分と13時30分に残留塩素濃度60ppmの機能水を床面から1.5mの位置より空間の上部に向かって4ml/m3噴霧するスラット噴霧に分け、28日齢の肉用鶏をウインドウレス鶏舎内空間の自然換気下で飼育した。落下細菌数は1群2箇所の床面80cm上でハートインフュージョン寒天培地、マンニット食塩寒天培地、DHL寒天培地を10秒間開放し、その平均値を一般細菌数、ブドウ球菌数、大腸菌数とする。 1. スラット床の使用により落下細菌から大腸菌は検出されない(表1)。 2. スラット床の使用により一般細菌数、ブドウ球菌数は10%以下に減少する。また次亜塩素酸ナトリウム・塩酸希釈混合水を噴霧することでさらに減少する(表1)。 3. 9~15時までの1時間毎の落下細菌数は、スラット床の使用で少なくなる。さらに次亜塩素酸ナトリウム・塩酸希釈混合水の噴霧は、時間帯による落下細菌数のばらつきを抑える効果がある(表2)。 4. スラット床の使用により床面30cm上のアンモニア濃度は、図1に示すようにどの日齢においても低く、臭気対策上も効果がある。 |
成果の活用面・留意点 | 1. スラット床による飼育は、鶏体と鶏糞が離れることから、サルモネラ以外にも汚染鶏糞からの経口感染が主であるコクシジウム症やクロストリジウム感染症、大腸菌症等の防除にも有効である。また抗菌性物質無添加飼料給与に適した飼育方法と考えられる。 2. 増体重は、平床に比べスラット床、スラット噴霧とも約5%低い。脚弱の発生率及びむね肉の腫瘤の発生率は、スラット床、スラット噴霧ともに約5%である(表3)。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 鶏 防除 |