タイトル | 反芻胃通過速度の遅い粗飼料の併給による稲発酵粗飼料の子実消化率の改善効果 |
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担当機関 | 三重科技セ |
研究期間 | 2000~2003 |
研究担当者 |
乾 清人 山本泰也 西川周司 前澤 卓 中西博司 田中浩二 富田智明 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 稲発酵粗飼料を用いた混合飼料において、反芻胃通過速度が遅い粗飼料を併給すると子実の消化率が改善される。また、混合飼料の反芻胃通過速度が遅くなっても、乾物摂取量は低下せず、乳量、乳成分にも影響しない |
キーワード | 乳牛、稲発酵粗飼料、併給粗飼料、混合飼料、子実消化率、乳生産 |
背景・ねらい | 乳牛飼養においては栄養価の高い稲発酵粗飼料(イネWCS)の給与が望まれている。イネWCSでは、未消化の子実が糞中に排泄されることから、子実消化性を改善することにより、栄養価の向上が期待できる。そこで、混合飼料(TMR)設計において併給する粗飼料の違いがイネWCSの子実消化性や栄養価および乳生産に及ぼす影響を検討しイネWCSの効果的給与技術の確立に資する。 |
成果の内容・特徴 | 供試したイネWCSは黄熟期(出穂30日目)のヤマヒカリを専用機でロールベールサイレージに調製したもので、水分54.9%、子実乾物割合は47.5%である。表1に示す混合割合でイネWCSの併給粗飼料にアルファルファ乾草またはチモシー乾草を用いた2種のTMRを調製し、乾乳牛2頭を用いた消化試験および泌乳牛6頭を用いた飼養試験(反転法)を実施し以下の成果を得た。 1. チモシー乾草の反芻胃内通過速度はアルファルファ乾草より遅い。チモシーTMR給与時のイネ子実部および茎葉部の通過速度はアルファルファTMR給与時より遅く、反芻胃内での滞留時間が長くなる(表2)。 2. チモシーTMRの粗飼料価指数(RVI)値はアルファルファTMRより大きく、子実消化率および澱粉消化率も高まる傾向があり(表3)、イネWCSの可消化養分総量(TDN)含量はチモシーTMRで改善される(表1)。 3. 泌乳牛では、反芻胃通過速度が遅いチモシーTMRでも十分な乾物摂取量が望める。さらに、乳量、乳成分には影響を及ぼさず、日乳量35kg程度の乳牛用飼料として有効に活用できる(表4)。 4. 反芻胃通過速度が速いアルファルファでもイネWCSと混合することにより、推奨されるRVI値(31分/乾物kg)が確保できる(表4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. イネWCSの子実消化率を向上させるためのTMRメニューの参考となる。 2. 泌乳初期から最盛期の乳生産に及ぼす影響は別途必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | アルファルファ 乳牛 |