底面給水法を利用した排液を出さないバラ養液栽培技術

タイトル 底面給水法を利用した排液を出さないバラ養液栽培技術
担当機関 バラ
研究期間 1996~2000
研究担当者 市村勉
本図竹司
高城誠志
浅野昭
発行年度 2002
要約 バラ養液栽培において底面給水法を利用し排液を再利用することで、排液を施設外に排出しない栽培が可能になる。その際、培地の上からと排液溝へ同時に給液することで培地内の培養液濃度が安定し、増収する。さらに、ランニングコストが低減し、低コスト化につながる。
キーワード 切り花、バラ、養液栽培、底面給水、排液再利用、低コスト
背景・ねらい 近年、バラのロックウール栽培は連作障害の回避や規模拡大のため増加傾向で、導入面積は427ha(1997年、全国)のうち約4割となっているが、生産現場では使用済みロックウールの処分や排液による水質汚染などの環境問題を抱えている。一方、輸入切花の増加によるバラ単価の低迷によって経営が厳しくなっており、低コスト化も望まれている。そこで、バラ養液栽培において排液を出さないシステムを開発し、環境に配慮するとともに低コスト化を図る。
成果の内容・特徴 1.
底面給水法を利用した排液を出さないシステムは、図1のように培地の下に給水マットを敷き、排液溝に溜まる排液を再利用されることで、排液が施設外に排出されない。
2.
採花本数は慣行(かけ流し)より底面給水法を利用した排液を出さないシステム(排液再利用)で多くなり、多収栽培が可能になる(図2-3)。「ローテローゼ」、「ノブレス」および「リトルマーベル」で同様の傾向が認められ、底面給水法を利用した排液を出さないシステムは主力の3品種に適応する。
3.
慣行と同じように培地の上からと排液溝に溜まった排液へ同時に給液(排液再利用)することで、底面給水で見られるような培地内のEC値の上昇がなく、ロックウール培地内の養液濃度を安定した状態で管理できる(図5)。
4.
培地内養液濃度を安定的に管理するためには、排液溜めのEC値だけでは培地の養液濃度を把握することができない(図4-5)ので、培地内養液を定期的に採取し、EC値3dS/m以内になるように、給液の培養液濃度を季節や培地内養液のEC値によって変えて対応する。
5.
底面給水法を利用した排液を出さないシステム(排液再利用)作成には、資材費が慣行(かけ流し)より多くかかるが、排液を効率的に利用するため、肥料費が約3割程度削減できる(表1)。粗収入は慣行(かけ流し)より底面給水法を利用した排液を出さないシステム(排液再利用)で22%増加し、収益性で比較すると、25%の増収につながる(表1)。
成果の活用面・留意点 1.
排液をださないシステムは既存の栽培システムへ自作で導入できるが、発砲スチロール枠のベンチ構造を基本とする。
2.
培養液組成は慣行(かけ流し)栽培の時と同様でよい。本試験ではバラ専用液肥を使用し、給液の培養液濃度はEC1.2~1.5dS/mの範囲で管理した。
3.
培地内EC値の上昇に注意し、上昇の兆しがあったら培養液濃度を薄めにする。特に、夏場や日射が強くなる時期はEC値の推移に注意する。
4.
培地にはロックウールを使用する。
図表1 217092-1.gif
図表2 217092-2.gif
図表3 217092-3.gif
図表4 217092-4.gif
図表5 217092-5.gif
図表6 217092-6.gif
カテゴリ 肥料 規模拡大 経営管理 コスト 低コスト ばら 品種 養液栽培 連作障害

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