タイトル | 高濃度悪臭ガスに対応した「脱臭・発電ディーゼルシステム」 |
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担当機関 | 岐阜畜研 |
研究期間 | 2002~2003 |
研究担当者 |
角田寛(保環研) 梶川正勝 高原康光(保環研) 若井和憲(岐阜大) 小川正幸 西川治光(保環研) 石原大治(IIC) 早川博 池田英人(IHI) |
発行年度 | 2003 |
要約 | 堆肥化施設の高濃度悪臭ガスを灯油ディーゼルエンジンに吸入し、エンジン内の約1000℃の熱で悪臭物質を分解し脱臭する。さらに触媒により排気ガスをクリーンにする。また、脱臭と同時に電力を発生させ、駆動電力源や電灯電力源として利用する。 |
キーワード | 家畜ふん尿、高濃度悪臭、脱臭、発電、ディーゼルエンジン、灯油 |
背景・ねらい | 家畜ふん尿の密閉型発酵装置(堆肥化施設)からの排気ガス臭気は、アンモニア濃度が3000ppmにも達する。この強制発酵装置は市街地の畜産農家を中心に普及しているが、経済的で効果的な脱臭方法が見あたらず、農家は悪臭対策に苦慮している。 また、食品コンポスト臭気も家畜ふんの堆肥化臭気と同様の悪臭が発生する。食品リサイクル法の施行により、業務用堆肥化装置が普及しているが、脱臭に関しては未対策であり、新たな悪臭問題が懸念される。 悪臭ガスの脱臭法には薬液洗浄法、吸着法、微生物脱臭法、燃焼脱臭法などがある。これらのうち、燃焼脱臭法は高濃度悪臭ガスの脱臭に最適であるが、イニシャルコストとランニングコストが高いことから十分に普及していない。 このような背景からイニシャルコストを従来品以下に抑え、ランニングコストを発電で補完するシステムを岐阜県、岐阜大学及び石川島播磨重工業の3者で共同開発した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 開発した「脱臭・発電ディーゼルシステム」の構成は、ディーゼルエンジン、発電装置、触媒および電圧調整器からなり、エンジン型式は水冷4サイクル単動縦型、回転数は1800rpm、最大出力は22kW、総排気量は2216cc、圧縮比は22:1、燃料は灯油で、ある(図1)。 2. 当システムは、発電と同時にディーゼルエンジンへ悪臭ガスを直接吸入し、エンジン内の約1000℃の熱で悪臭物質を分解するシステムである(特許出願済)。更に触媒により排気ガス中の窒素酸化物(NOx)や黒煙(PM)を基準値の1/3以下に低減する。 3. 当システムは、毎分約2.0立方メートルの高濃度のアンモニア等を含む悪臭ガスの脱臭処理が可能である。 4. ディーゼルエンジンによるアンモニアの脱臭効率は、30日間の連続運転試験において安定しており、発電出力が7kW、9kW、13kWと大きくなるに従い、87%、94%、99%と高くなり、他の悪臭物質もほぼ同様に脱臭効率が高くなる(表1)。 5. 触媒装置を併用する場合のアンモニアの脱臭効率も、30日間の連続運転試験において安定しており、発電出力が7kW、9kW、13kWと大きくなるに従い、91.7%、100%、100%と高くなり、他の悪臭物質もほぼ同様に脱臭効率が高くなる(表1)。 6. 電力需要が上がると自動的に発電出力が高くなり、エンジン回転数が僅かに減少し燃料消費量が増加するが、熱効率や脱臭効率が高くなる(表2)。 7. 当システムは、電力需要に応じて発電出力を7~13kWに自動的に調整し、畜ふん堆肥化施設の動力や電灯の自給電源として利用することにより、電気料金の減少と燃料費の相殺によりランニングコストを抑制できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 畜産の悪臭の他、食品コンポスト、塗装乾燥排気ガス等強い悪臭に適応可能である。 2. 当システムの脱臭処理量は、ディーゼルエンジンの総排気量や回転数によって制限を受ける。 3. 省エネ性、クリーン性を重視した灯油専用ディーゼルエンジンシステムであり、小型で防音構造による低騒音型であることから設置場所の選定を必要としない。 |
図表1 | |
カテゴリ | 乾燥 くり コスト 省エネ・低コスト化 発電装置 |