ロウソク培養技術を応用した卵子の成熟培養

タイトル ロウソク培養技術を応用した卵子の成熟培養
担当機関 三重科技セ
研究期間 1998~2002
研究担当者 水谷将也
島田浩明
余谷行義
発行年度 2003
要約 と畜場施設内の炭酸ガス培養器のない状況下で、ロウソク培養法により成熟培養した卵子を用いて体外胚を生産することで、炭酸ガス培養器内で成熟培養した卵子と同等の胚盤胞発生率を得ることができる。
キーワード ロウソク培養、卵子成熟培養、体外受精
背景・ねらい 平成13年度の牛海綿状脳症(BSE)発生以降その防疫対策が強化され、BSE検査結果が出るまでは、と畜場施設外へ卵巣を持ち出すことができなくなった。生存性の高い卵子を確保するためには、採材直後の卵巣からできるだけ早く卵子を吸引する必要があり、そのためにはと畜場施設内で卵子成熟培養を行う必要がある。しかし、一般のと畜場施設内には炭酸ガス培養器は無く、また、卵巣からの卵子吸引採取や成熟培養等の操作を行うためのスペ-スを確保することも難しい。そこで、温度調節機能を備えた小型の保温機と気密性を保つことが可能な密封容器を使用し、机1基程のスペ-スで一連の操作ができる簡易な卵子成熟培養技術について検討する。
なお、ロウソク培養法とは密封容器内でロウソクを燃焼させることで、容器内の酸素濃度を減少させ、かつ、二酸化炭素濃度が上昇した気相条件を作り出す方法で、微好気性細菌の培養技術として利用されている(表1)。
成果の内容・特徴 1.
媒精終了後に第一極体を確認できた卵子(以下、「成熟卵子」)の割合は、60.5~88.6%の間で推移し、平均75.4%(775/1,028個)である(表2)。
2.
媒精64時間後の卵子分割率は61.2~75.9%で推移し、平均66.6%(685/1,028個)である。
3.
胚盤胞への発生率は表-3に示すとおり31.6~40.0%で推移し、平均34.4%(354/1,028個)である(表3)。
また、媒精終了後に第一極体を確認できた卵子の体外胚への発生成績では、分割率は77.3%(599/775個)、胚盤胞への発生率は40.6%(315/775個)である。
4.
炭酸ガス培養器を使用した場合と同等の、卵子の成熟率と媒精後の胚盤胞発生率が得られ、簡易的な卵子成熟培養法として利用できる。
成果の活用面・留意点 1.
炭酸ガス培養器を用いる必要がないため、約38℃の温度管理ができる器具があれば、と畜場施設内の僅かなスペ-スを利用して卵子の成熟培養が可能である。
2.
卵巣採材場所が遠方の場合、採材現場で卵子の吸引採取から成熟培養開始までの操作を行うことで、採取直後の良好な卵子が確保できるとともに、移動時間の有効活用も可能になる。
3.
密封容器内でのロウソクを燃焼させる高さにより、ロウソクの燃焼時間が変化し、容器内の気相条件が異なるため、ロウソクはできるだけ低い位置で燃焼させることが望ましい。
図表1 217239-1.gif
図表2 217239-2.gif
図表3 217239-3.gif
カテゴリ 温度管理 肉牛

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる