タイトル | 転作田に適する飼料用栽培ヒエの品種と刈取ステージ |
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担当機関 | 富山畜試 |
研究期間 | 2001~2004 |
研究担当者 |
吉野英治 蓑和誠也 国吉誠 丸山富美子 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 排水条件の悪い転作田において、飼料用栽培ヒエのグリーンミレット中生を8月上旬に、グリーンミレット晩生を8月中旬の伸長期に収穫すると、乾物収量はローズグラスより多く、翌年、水稲作に復元しても雑草化することがない。 |
キーワード | 飼料作物、栽培ヒエ、排水不良田、イネ科雑草、雑草化防止 |
背景・ねらい | 排水条件の悪い転作田の牧草栽培では、耐湿性の優れた夏作物が求められている。一方、耐湿性に優れる飼料用栽培ヒエは、従来から生産性が高いとされる出穂期以降に収穫すると、水稲復帰後に雑草化する懸念がある。そこで、北陸地域の排水条件の悪い転作田に適する夏作物として、一般に栽培されるローズグラスより収量が高く、かつ、雑草化のおそれのない栽培ヒエの品種、刈取ステージ及び刈取時期を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 出穂期(全茎のほぼ50%が出穂)に採種した栽培ヒエ6品種の種子の発芽率は4~41%であり、出穂期刈りでは翌年の雑草化が懸念される(表1)。 2. 梅雨明け(北陸地方平年7月22日頃)後の収穫作業適期において、翌年に雑草化の懸念のない伸長期に収穫できる品種は、青葉ミレット、グリーンミレット中生及びグリーンミレット晩生であるが、青葉ミレットは生育が早まる年では穂ばらみの収穫となる懸念がある。一方、白ヒエ極早生、白ヒエ早生及びグリーンミレット早生は、同作業適期において穂ばらみ期(出穂前7日)~出穂期であり、刈取り翌年に雑草化する(図1)。 3. 9月中旬までに収穫作業を終える2回刈体系において、1、2番草とも伸長期刈りが可能な時期は、1番草はグリーンミレット中生が8月上旬、グリーンミレット晩生が8月中旬で、2番草はそれぞれ1番草の4週後である(表2上段)。 4. 1番草を伸長前期(幼穂形成始めから幼穂長2mmの時期)に刈取っても伸長後期(穂ばらみ直前の時期)の刈取りに比べ収量に遜色がなく、雑草化防止の観点から伸長前期の刈取りが有利である。また、この場合の乾物収量はローズグラスに比べて多い(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 排水対策を施した後もなお過湿な転作田における夏作に活用できる。 2. 飼料用栽培ヒエの刈取ステージの判定に際しては、ほ場内で個体間に生育差があること、品種の生育時期に年次変動があることを考慮し、刈り遅れのないよう留意する。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 病害虫 雑草 飼料作物 飼料用作物 耐湿性 ばら ひえ 品種 |