タイトル | 茶園における化学合成農薬使用を半減した病害虫防除体系 |
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担当機関 | 静岡茶試 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
西島卓也 小杉由紀夫 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 性フェロモン剤と顆粒病ウイルス剤の利用と土着天敵の保護活用、および二番茶摘採後のせん枝処理よる病害伝染源の除去を組み入れた茶の病害虫防除体系は、化学合成農薬の使用を半減以下にすることが可能である。 |
キーワード | チャ、減農薬、防除体系、生物的防除、耕種的防除 |
背景・ねらい | 現在、茶の病害虫防除は化学合成農薬に依存し、年間延べ10回以上使用されている。しかし、化学合成農薬の多用は病害虫の薬剤抵抗性の発達や環境に与える影響が懸念されることから、化学合成農薬の使用を削減し、環境に配慮した防除体系の確立が望まれている。そこで、生物的防除や耕種的防除を組み込み、化学合成農薬を半減した病害虫防除体系を実証する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 実証区の防除体系はハマキムシ類に対して性フェロモン剤(トートリルア剤)と顆粒病ウイルス剤の利用、カンザワハダニに対して土着ケナガカブリダニの保護活用、三番茶生育期の炭疽病に対して二番茶摘採後のせん枝処理よる伝染源の除去を組み入れることにより、対照区の慣行防除体系に比べて化学合成農薬が半減以下となる(表1)。 2. 実証区の防除体系は主として性フェロモン剤により、ハマキムシ類幼虫の密度を対照区の慣行防除体系と同程度に抑制できる(表2)。 3. 実証区の防除体系における一番茶萌芽前から二番茶摘採後のカンザワハダニの密度は、対照区の慣行防除体系とほぼ同程度に推移し、化学合成農薬を使用しなくても、発生を低密度に維持できる(表3)。 4. 実証区の防除体系における三番茶期の炭疽病の発生は、対照区の慣行防除体系よりも少なく、二番茶摘採後のせん枝処理による伝染源の除去効果が高い(表4)。 5. チャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマ、チャノホソガの発生は、実証区の防除体系と対照区の慣行防除体系にほとんど差がない(データ省略)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本防除体系におけるハマキムシ類の防除効果は、面積が広いほど効果が安定する。 2. ハマキムシ類に対する防除効果は、甚発生条件下や多発しやすい第3世代幼虫期に低下することがある。その場合は他の防除手段を併用する。 3. 二番茶摘採後のせん枝処理は、新梢枯死症や褐色円星病に対しても効果が期待できる。 4. 二番茶摘採後のせん枝処理以降、高温乾燥となると茶樹の樹勢が低下する。そのような気象が予想される場合は、せん枝処理を中止するか、潅水を行う。 5. 本防除体系では、一番茶後にチャノナガサビダニ、8月以降にカンザワハダニの発生が多くなる場合がある。突発的な病害虫の多発生がみられたら、化学合成農薬を使用する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 害虫 乾燥 性フェロモン 生物的防除 炭疽病 茶 抵抗性 土着天敵 農薬 病害虫防除 防除 薬剤 |