タイトル | 静岡県の茶園におけるクワシロカイガラムシの天敵類の発生実態 |
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担当機関 | 静岡茶試 |
研究期間 | 2002~2003 |
研究担当者 |
小澤朗人 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 静岡県の茶園には、クワシロカイガラムシの土着天敵として、チビトビコバチ、サルメンツヤコバチ(仮称)、ナナセツトビコバチ、クロマルカイガラトビコバチ、タマバエ類、ハレヤヒメテントウなどが生息している。これらの中では、チビトビコバチが優占天敵種であり、クワシロカイガラムシの密度抑制要因として重要である。 |
キーワード | チャ、クワシロカイガラムシ、天敵、寄生蜂、チビトビコバチ |
背景・ねらい | 茶園では、重要害虫であるクワシロカイガラムシに寄生したり捕食する土着の天敵類が生息する。しかし、これら天敵類の発生実態については不明な点が多い。そこで、静岡県の茶園におけるクワシロカイガラムシの土着天敵の種類、種構成、発生消長などの実態を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 静岡県の茶園から採集したクワシロカイガラムシの雌成虫から羽化した天敵は、チビトビコバチ、サルメンツヤコバチ(仮称)Pteroptrix orientalis (Silvestri)(大英博物館(Natural History)の鑑定による)、ナナセツトビコバチ、クロマルカイガラトビコバチ、タマバエ類などである(図1)。 2. 茶株内に設置した粘着トラップに捕獲されたクワシロカイガラムシの天敵は、チビトビコバチなどの寄生蜂とタマバエ類、捕食性甲虫のハレヤヒメテントウやキムネタマキスイである。このうち、寄生蜂ではチビトビコバチが、捕食性甲虫ではハレヤヒメテントウが優占種である(表1)。 3. 天敵の種類やそれらの構成割合は、クワシロカイガラムシの発生世代や場所によって変化するが(データ省略)、総じてチビトビコバチが第1優占種である(図1)。 4. チビトビコバチ(成虫)は、5月、7月および9月のクワシロカイガラムシ幼虫ふ化期と6月、8月および10月の寄主雄成虫の羽化期に発生のピークが認められる(図2)。 5. サルメンツヤコバチ(仮称)(成虫)は、寄主幼虫のふ化ピークから数日から1週間遅れて発生のピークが認められる(データ省略)。 6. ナナセツトビコバチ(成虫)は、寄主雄成虫の羽化時期に発生のピークが認められる(データ省略)。 7. タマバエ類(成虫)は、だらだら発生で発生のピークは明瞭ではないが、夏から秋に発生が多くなる傾向が認められる(データ省略)。 8. ハレヤヒメテントウ(成虫)は、だらだら発生で発生のピークは明瞭ではないが、夏期に発生が多くなる傾向が認められる(データ省略)。 9. 同一ほ場で2年間、計6世代にわたってクワシロカイガラムシとチビトビコバチの密度変動パターンを調べたところ、寄主と天敵の密度関係の経時変化を示す左回りの周期性が認められる(図3)。このことから、チビトビコバチはクワシロカイガラムシの密度抑制要因として重要である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 土着天敵の保護活用による生物的防除の基礎資料となる。 2. 本情報は慣行防除園での調査結果であり、無農薬園等、化学農薬の散布頻度が少ない茶園では天敵相が異なる可能性がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 害虫 生物的防除 茶 土着天敵 農薬 防除 |