豚・鶏ふん堆肥の品質評価を目的とした近赤外分析による易分解性有機物の推定

タイトル 豚・鶏ふん堆肥の品質評価を目的とした近赤外分析による易分解性有機物の推定
担当機関 埼玉農総研セ
研究期間 2002~2004
研究担当者 宇田川浩一
小滝正勝
発行年度 2003
要約 豚及び鶏ふん堆肥について、近赤外分析法により高い精度で定量可能な有機物量及び酸性デタージェント繊維量の差である酸性デタージェント可溶有機物量を易分解性有機物量として推定し、これによる品質評価が可能である。
キーワード
背景・ねらい 家畜ふん堆肥の品質には著しい違いがあるため、利用促進のために簡易な品質評価方法が求められている。既に主な肥料成分(全窒素・リン酸・カリ等)については近赤外分析法により迅速かつ簡易な推定が可能となったが、腐熟度等の品質評価については簡易な方法は確立されていない。昨年度、牛ふん堆肥の有機物量から酸性デタージェント繊維(ADF)量を差し引いた酸性デタージェント(AD)可溶有機物量を易分解性有機物量と定義すると、これを指標とした品質評価が可能であり、しかも近赤外分析法により迅速に推定できると報告した。そこで同様に、県内の豚ふん堆肥106点及び鶏ふん堆肥78点を対象に、近赤外分析法によるAD可溶有機物量の推定及びこれを指標とした品質評価の可能性を検討した。
成果の内容・特徴 1 
収集堆肥について、乾燥(60℃・48時間)、粉砕(0.5mmメッシュ通過)した風乾物の水分(105℃・4時間減量)、有機物(550℃・4時間灰化減量)、酸性デタージェント繊維(ADF;飼料分析の常法)を分析した。同時に1100~2500nmの領域について近赤外反射スペクトルを測定(NIRSystem6500)後、有機物及びADF(乾物%)について近赤外分析用検量線を作成し有効性の検討を行った結果、精度はともに高く、有機物からADFを差し引いたAD可溶有機物も近赤外分析法により推定可能と考えられた(図1)。
2 
豚・鶏ふん堆肥の風乾物それぞれ30点について、AD可溶有機物量が乾物あたり20%未満、20~30%未満、30%以上の3水準に分類し、抽出液によるコマツナ発芽、発芽外観評価及び根伸長への影響を検討した(山口らの方法)。その結果、豚・鶏ふん堆肥のいずれも、AD可溶有機物の水準が高いほど、コマツナの発芽及び根伸長に障害を与える傾向が認められ、AD可溶有機物量が20%未満の堆肥では、発芽率・発芽外観評価・根伸長がいずれも、対照(蒸留水)の80%以上であった(図2)。
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上記の豚・鶏ふん堆肥各30点について、腐熟度評価指標の一つである生物化学的酸素要求量(BOD)を測定(20℃・5日間の酸素消費量:小柳らの方法)した結果、豚・鶏ふん堆肥いずれもAD可溶有機物とBODとの間に1%水準で有意な正の相関が認められた(図3)。
成果の活用面・留意点 1 
近赤外分析法により、これまでに検量線を作成した全炭素・窒素・リン酸・カリ・石灰・苦土の肥料成分とともに、有機物・ADF・AD可溶有機物との同時多成分測定が可能であり、家畜ふん堆肥の品質評価を迅速かつ簡易に実施できる。
2 
堆肥原料によりAD可溶有機物量は異なるため、評価基準値については、畜種及び副資材の質・量の違いによるデータ蓄積とさらなる検討が必要である。
図表1 217457-1.gif
図表2 217457-2.gif
図表3 217457-3.gif
カテゴリ 肥料 乾燥 近赤外分析 こまつな 評価基準

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