透湿不透水シートを用いた肉用牛簡易堆肥化法

タイトル 透湿不透水シートを用いた肉用牛簡易堆肥化法
担当機関 埼玉農総研
研究期間 2003~2003
研究担当者 宇田川浩一
崎尾さやか
小森谷博
発行年度 2004
要約 透湿不透水シートと堆肥底面からの間歇通気を組み合わせた、肉用牛ふんの簡易な堆肥化施設。シート表面から水分を蒸散し、臭気の揮散を防ぎ、16週で推奨基準を満たす堆肥ができる。
キーワード 肉用牛、簡易堆肥化施設、透湿不透水シート、下部送風
背景・ねらい 肉用牛ふんの堆肥化は、処理量が多い上に敷料の分解に時間を要し、広大な面積と長い堆肥化期間を要する。そこで、肉用牛ふんを速やかに堆肥化できる、透湿不透水シートを用いた低コストな簡易堆肥化法を開発する。
成果の内容・特徴 1.
原料を堆積する堆肥盤は、地面に防水シートを敷いて土を盛り、鎮圧する。堆肥を覆うシートには透湿不透水性のものを使用し、有孔塩ビパイプを堆肥底面に埋設して間歇通気する。通気はロータリーブロアでタイマー制御する(図1)。透湿不透水性シートで被覆することによって、堆肥中の水分は上部に移行しながらシート表面から水蒸気として放出され、全体の水分は徐々に低下する。下部は高温時の通気で乾燥し、その後も結露水等は下部に滞留しない(図2)。
2.
本方法では、年間処理量を185tとすると、建設費192,000円、設備機器費1,520,000円、維持管理費7,200円/年で、年間1頭当たり10,563円(肉用牛20頭規模)である。
3.
畜舎から搬出したふんと敷料(オガクズ)を高さ1mに堆積し、6、8、10週目に切り返すことで発酵が促進される。例えば、夏期の発酵温度は堆積直後に全体が最高温度に達し、切り返しにより再上昇しながら暫時低下する(図3)。なお、積込み時の水分が77%と高かった冬期の例では、初期に温度は上昇しなかったが、4週目にハウス乾燥・再堆積したところ60℃以上に上昇した(図4)。
4.
堆積後は有機物率が徐々に低下し、切り返した6週目以降速やかに分解する(図5)。また、16週間の堆肥化でコマツナ種子発芽率は100%で、肥料成分は堆肥の推奨基準を満たす品質になる。なお、EC値が高いのは尿が含まれるためと推察される(表1)。
5.
シート表面のアンモニア濃度は内部の堆肥表面よりも低く推移し(図6)、また、通気により堆肥全体が好気的になるため快不快度は4週目に改善される。
成果の活用面・留意点 1.
小規模肉用牛農家の簡易堆肥化法として利用できる。また、中規模肉用牛農家では、既存堆肥舎の前処理施設として利用すると、切り返し時の臭気発生を抑制できる。
2.
積込み時の水分を75%以下に調整する。通気間隔は、初期はインターバルを短く、通気回数を多くして、発酵温度を観察しながら徐々にインターバルを長くする。なお、堆肥を施用する場合は、成分を把握し適正に利用する。
図表1 217644-1.gif
図表2 217644-2.gif
図表3 217644-3.gif
図表4 217644-4.gif
図表5 217644-5.gif
図表6 217644-6.gif
図表7 217644-7.gif
カテゴリ 肥料 乾燥 こまつな 低コスト 肉牛

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