タイトル | 有機質液肥を用いた養液土耕によるトマト促成長期栽培技術 |
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担当機関 | 環境制御研究室 |
研究期間 | 2001~2004 |
研究担当者 |
古谷茂貴 上原洋一 川嶋浩樹 中野明正 林清忠 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 有機質液肥であるCSLを利用した有機養液土耕法は、既存の養液土耕システムを利用してトマト促成長期栽培に適用できる。本栽培法は長期間の栽培でも肥料成分が土壌中に蓄積しない環境負荷軽減型の栽培法である。 |
キーワード | 有機質液肥、養液土耕、トマト、促成長期栽培、環境負荷軽減 |
背景・ねらい | 有機養液土耕栽培は、トウモロコシからブドウ糖を製造する工場の廃液で、低利用資源のコーンスティープリカー(CSL)を有機質液肥として活用し、養液土耕法と組み合わせて開発したものである。これまで養液土耕に適用できる有機質液肥はほとんどなかったことから、CSLを利用した本栽培法は、有機質資材を活用している栽培体系での利用が見込まれる。一方、トマト栽培では、高軒高ハウスの導入とハイワイヤー整枝により栽培が長期化する傾向にあるが、有機養液土耕法を適用した例はない。そこで、トマト促成長期栽培において有機養液土耕法を適用した実証試験を行い環境負荷軽減型のトマト栽培技術を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. CSLは、1日に必要な窒素施用量に応じて任意の倍率に希釈して施用する。通常の養液土耕法と同様に栽培できるため、葉汁中の硝酸イオン濃度分析等を参考に肥培管理を行う(図1、2、3、一部データ省略)。 2. 灌水チューブの目詰まりを防止するために、CSLは1日の最初の灌水時に1回施用する。1回の施用で窒素施用量が1日の必要量に達しない場合は、2回に分けて施用する。その後は灌水チューブ内の洗浄を兼ねて灌水のみを行う。この方法により栽培が長期に渡っても既存の養液土耕システムを安定して運用できる(図2、3)。 3. 有機養液土耕法は、高軒高ハウスを利用したハイワイヤー整枝によるトマト促成長期栽培に対応できる。この場合でも栽培期間における土壌中への肥料分の蓄積は認められない(図1)。 4. 灌水量は1回当たり約0.2L/個体として1日に数回行う。灌水量は生育や天候に応じて調節する。夏季晴天日には約2.0L/個体が目安となる(図1、図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 施肥量、灌水量は栽培条件、品種、土壌条件等により変化するため、指導機関で提示されている栽培指針を参照する。参考までに、図1の栽培例における株当たり累積収量は9.75kg(栽植本数は2222株/10a)である(図3)。 2. CSLを原料とする有機質液肥は、本地域総合における成果をもとに資材メーカー(3社)から市販されている。CSLの保証肥料成分は窒素3%、リン酸3%、カリ2%である。 3. CSLはカルシウム含量が低いため、カルシウム分を基肥として施用する必要がある。 4. 販売方法を工夫することにより環境負荷軽減型である有機養液土耕栽培により生産した農産物を有利に販売できる可能性がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 土づくり 肥料 栽培技術 栽培条件 栽培体系 施肥 とうもろこし トマト 肥培管理 品種 |