タイトル | 籾殻の低温燃焼による高溶解性ケイ酸質肥料資材化 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
N.B.Prakash 伊藤純雄 高田芳三(高田エンジニアリング) 森泉美穂子 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 籾殻を撹拌流動層法などにより低温で完全燃焼して生じる灰は、非晶質で溶解性が高く、重金属など有害物質をほとんど含まず、ケイ酸質肥料資材として効果が高い。 |
キーワード | 籾殻、灰、ケイ酸、肥料、バイオエネルギー |
背景・ねらい | 籾殻は国内で年間約200万トン生産され、カントリーエレベータなどへ集められる乾燥バイオマスという有利な特徴がある。しかし高温下ではクリンカー(固まりとなった燃えかす)が生じて運転上の障害になり、完全燃焼が難しい。また20%余りの灰分の廃棄が大きな障害となって、籾殻のエネルギー利用は一般化していない。 そこで燃焼条件と灰の特性の関係を解明して、籾殻のエネルギーと灰を有効に利用する技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 高温(900℃)で灰化した籾殻灰のケイ酸は溶解性が極めて低いが、灰化温度が800℃以下ではかなり溶解し、400~500℃で最も溶解性が高い。(図1) 2. 籾殻灰を施用したポット試験の結果、低温で灰化した籾殻を施用することによって溶液中のケイ酸濃度が高まり、シリカゲル施用区に匹敵する濃度となった(図2)。 3. 籾殻灰を施用した水稲はシリカゲル区に近いケイ酸吸収量、対照無施用区を上回りケイカル施用区に匹敵する収量を示した。(図3) 4. 籾殻灰はケイ酸含有率が高く、少量の植物栄養塩類を含むが、有害な重金属等をほとんど含まない(表1)。特有の微細構造を持っており(データ略)、有機農業にも利用できる安全な資材である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 空気吹き込み式撹拌流動層燃焼炉により、籾殻を低温で燃焼させることができる。 2. 本資材は肥料取締法上特殊肥料に相当するが、必要があれば普通肥料として申請することも可能である。 3. 試算では、年間に3,000~4,000トン以上の籾殻を燃焼させて、360(うち自己消費100)KW/hrの発電、籾殻灰600~800tを産出することにより、カーボンニュートラルで籾殻エネルギー-ケイ酸灰を地域内で循環利用しつつ、生産される電力とケイ酸資材により、システム建設と運営経費を有利に償還できると見込まれる。 4. 肥料のほか、工業原料(ゼオライト、各種触媒・添加剤、洗剤ビルダー、調湿・脱臭材料、合成樹脂フィラー、製油用クラッキング材料、セメント改質材、食品添加材、乾燥剤、合金など)への利用が考えられる。 5. ボイラー、発電タービン等システム建設に3億円程度を要する。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 有機農業 有機栽培 肥料 乾燥 くり 植物生理 水稲 |