タイトル | 魚類の生息環境を改善する魚道付き転倒堰 |
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担当機関 | 環境安全グループ |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
加藤宏明 宮本 晃 田中雄一 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 水路断面に対して通水阻害面積が小さく、既設水路に簡単に設置する低コストな魚道付き転倒堰は、常時の流速を抑え、水深を大きくするため、魚類の生息環境を改善できる。 |
キーワード | 魚類、生息環境、転倒堰、魚道 |
背景・ねらい | 愛知県の農業用小・支線排水路は、ほぼ改修を終えており、コンクリート三面張りで、流速が大きく、水深が小さいため、流れが単純で魚類の生息に望ましい環境ではない。そこで、大規模な水路改修を伴わない、通水阻害面積が小さく、既設水路に簡単に設置する魚道付き転倒堰(以下転倒堰という)を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 転倒堰は降雨等により水位が上がると水圧で扉体が転倒し、水位が下がると自重(おもり)により復元する構造であり、流速を抑え、深みをつくり、多様な流れを形成して魚類の生息環境を改善する(図1)。また、製作工事原価は幅60cmの転倒堰で約40千円と安価である。 2. 魚類の移動の連続性を確保するため転倒堰に付属する魚道は、口径100mmのポリエチレン製コルゲート管に厚さ5mm、挿入角度20°~30°の隔壁を80mm間隔で挿入した構造とし、勾配30°以下で設置する。 3. 現地実証を行った幅60cm、勾配1/300の鉄筋コンクリート組立柵渠の小排水路は、平均水深7cm、平均流速28cm/sであったが、転倒堰を設置したところ、設定水位25cmで扉体は転倒復元し(図2)、流速は扉体起立時において数cm/sとなる。また、転倒堰から上流6mまで土砂堆積量が最大3cm前後と軽微である(図3)。 4. 魚道は、タモロコ、オイカワ、カワムツ、メダカ、ドジョウの5種が遡上する(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 魚類の生息環境を改善する水田生態系の再生工法として活用できる。 2. 設計水量に対し施設断面に余裕のない水路に設置する場合、堰上部の壁面を改修し複断面化するなどが望ましい。 3. 現場の流量及び土砂流入量により、流速と土砂堆積量は異なる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | くり 水田 低コスト |