タイトル | フキ交雑品種「春いぶき」の育成 |
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担当機関 | 群馬農技セ |
研究期間 | 2002~2006 |
研究担当者 |
猿田正暁 小泉丈晴 池田 洋 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 「春いぶき」は、困難とされていたフキ栽培品種の交雑に成功し、育成した品種である。本品種は、群馬県内在来「水ブキ」に比べ、フキノトウ(花穂)の収穫量が極めて多く、品質においても優れた特性を有する。 |
キーワード | フキ、フキノトウ、交雑品種 |
背景・ねらい | 主なフキ栽培品種である「水ブキ」および「愛知早生ブキ」は、3倍体で不稔であるため、交雑育種は困難とされ、また、その他の栽培品種の倍数性については詳しく解明されていない。当研究センターでは、フキ栽培品種にも2倍体が存在し、それらに稔性があることを明らかにした。そこで、2倍体栽培品種の交雑実生から選抜を実施し、需要が増しているフキノトウの収穫量が多い品種を育成する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 育成経過 フローサイトメトリーによる相対核DNA量の測定から、2倍体と推定された種子稔性のある群馬県在来「水ブキ」雌株と2倍体と推定された花粉稔性のある「八ツ頭」雄株とを交配親とした。2002年に599株の交雑実生を得て、2003年に23系統を1次選抜し、それぞれに「MY1」から「MY23」までの系統番号を付けた。さらに、2~3次の選抜を実施し、フキノトウの生育と品質において最も優れる「MY-20」を新品種候補とした。現在、農林水産省に「春いぶき」の名称で品種登録出願中であり、2005年8月に出願公表されている(第17645号)。 2. 「春いぶき」の特性 1) 本品種は、フキノトウの収穫を主とした品種で、フキノトウが群馬県在来「水ブキ」の4倍程度発生する(表1)。 2) フキノトウの基部まで緑色で(図1)、しまりが比較的良く、苞のアントシアニンの発生は少なく品質が優れる(表2)。 3) 苦みや香りは群馬県在来「水ブキ」と同等である。 4) フキノトウは密集して発生し、ほとんどが地上部に出るため収穫し易く、土で汚れにくい(図2)。また、フキノトウを包む苞の枚数が多いため(表1)、花蕾が露出しにくく調製し易い。 5) 地上部に早くから出ることや苞の開きが遅いため(表1)、群馬県在来「水ブキ」より長期間収穫できる。 6) 葉柄は、群馬県在来「水ブキ」に比べて、やや細く、草丈がやや短く(表2)、基部に赤みが発生する。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本品種は、群馬県在来「水ブキ」と同様に地下茎の生育が旺盛なことから、3年程度を目途に改植が必要である。 2. 本品種の種株は、県外配布の当面の予定はない。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 育種 改植 新品種 品種 ふき ふきのとう |