タイトル | 筑波・稲敷台地上の黒ボク土畑深層における硝酸性窒素の吸着 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2003~2007 |
研究担当者 |
前田守弘 太田健 井原啓貴 |
発行年度 | 2005 |
キーワード | 黒ボク土、硝酸性窒素、溶脱、陰イオン交換、速効性肥料、被覆尿素、豚ぷん堆肥 |
背景・ねらい | 黒ボク深層土は陰イオン交換容量が高いことが知られており、野菜畑から溶脱した硝酸性窒素(NO3-N)の地下水への流入が緩衝されることが期待される。そこで本研究では、各種資材を10年間連用した黒ボク土畑深層における土壌および土壌溶液NO3-Nの鉛直分布を調査し、各資材由来窒素(N)の長期的収支を解析する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 筑波・稲敷台地上にある淡色黒ボク土畑圃場(谷和原;年平均降水量1257 mm)に速効性肥料、被覆尿素、豚ぷん堆肥を連用してスイートコーン(5~8月)-ハクサイ(またはキャベツ、9~12月)を栽培したところ、連用10年目トウモロコシ作跡では、深さ1 mの土壌溶液NO3-N濃度に資材間差は認められなかった。また、速効性肥料区の土壌溶液NO3-N濃度は深層ほど低下した(表1)。 2. 同時に深さ4.5 mまでの土壌NO3-N含有量を調査したところ、資材の種類によらず、深さ3 mにまで影響がみられ、深さ1 m強に120 mg kg-1、2.5 m付近に150~220 mg kg-1の高濃度ピークが認められた(図1)。作土以外の陰イオン交換容量は約50 mmolc kg-1と高く(図2)、土壌溶液と土壌NO3-Nならびに含水比から求めたNO3-N吸着量は、速効性肥料区の場合、深さ1 mで50 mg kg-1、2 mで121 mg kg-1、2.5 mで182 mg kg-1、3 mで24 mg kg-1であった。 3. 深さ2.5 m付近でNO3-N含有量および吸着量が高い理由として、吸着競合イオンであるSO4含量が上層よりも低く、さらには、土壌pHも上層より低いために高AECが発現したことが考えられる(図3)。 4. 速効性肥料区と被覆尿素区では施用Nの約5割が作物に吸収されず、NO3-Nとして深さ4.5 mまでに大半が蓄積していた。一方、施用N量が化学肥料の2倍である豚ぷん堆肥区では、施用Nの約4割は作土に蓄積しており、3割強が作物吸収され、残りはNO33-Nとして深さ4.5 mまでに存在していた。深さ4.5 mまでのNO3-N 蓄積量は資材の種類によらず1800~2300 kg ha-1と高く、NO3-Nが地下水に流入するのを緩衝している。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本成果は、黒ボク地域における地下水硝酸汚染対策のための基礎資料となる。 2. 試験圃場は台地の一番高い地点にあり、周辺からの地下水流入は考えられない。また、深さ4.4 m付近には常総粘土層がある。 3. 黒ボク土深層に吸着したNO3-Nの長期的な動態を明らかにするには、より長期のモニタリング試験が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 肥料 キャベツ とうもろこし はくさい 豚 モニタリング |