水稲品種「イクヒカリ」における食味成分・品質確保のための出穂後の葉色の指標値

タイトル 水稲品種「イクヒカリ」における食味成分・品質確保のための出穂後の葉色の指標値
担当機関 企画指導部
研究期間 2004~2005
研究担当者 土田政憲
井上健一
発行年度 2005
要約 水稲「イクヒカリ」で、収量・品質ともに高いのは、出穂後の止葉の葉色(SPAD値)が、出穂後10日頃は36~38程度、出穂後20日頃は33~36程度、出穂後30日頃には29~31程度となった場合である。
キーワード イネ、イクヒカリ、食味官能、外観品質、葉色(SPAD値)
背景・ねらい 水稲「イクヒカリ」は、出穂期、成熟期ともにコシヒカリ並の中生で、短稈の偏穂重型品種で倒伏しにくく、収量性は高い。また、炊飯特性では冷めても軟らかいという特徴がある。ここでは、イクヒカリの収量性と外観品質、良食味性を発揮させるための葉色の指標値を明らかにする。

成果の内容・特徴 1.
イクヒカリでは、総籾数が20千粒/m2~35千粒/m2の範囲内で、総籾数が多いほど精玄 米収量が多収となる。しかし、収量が増えるほど玄米タンパク含有率が高まる。また、 玄米タンパク含有率が低すぎると背白・基白粒の割合が高まり、外観品質が低下する(図1)。
2.
2005年産イクヒカリ(玄米タンパク含有率5.5%~6.9%)では、玄米タンパク含有率が 6.0%~6.6%程度のものが食味官能評価で「粘り」や「うま味」の評価が高く、「総合」 の食味評価も高い(図2、表1)。
3.
出穂後の葉色(SPAD値)が濃いと玄米タンパク含有率が高まり、葉色が淡いと収量が低くなり、背白・基白粒の割合が増えて外観品質が低下する(表2)。特に、登熟後半に 葉色が落ち過ぎると外観品質が顕著に低下している。
4.
収量、外観品質ともに高く、食味評価の高い玄米タンパク含有率とするためには、出穂後の止葉の葉色(SPAD値)が、出穂後10日頃は36~38程度、出穂後20日頃は33~36程度、 出穂後30日頃には29~31程度を目標とする(表2)。

成果の活用面・留意点 1.
福井農試場内圃場(細粒グライ土)の試験では、上記の葉色で推移したのは、基肥窒 素量0.5kg/a+穂肥窒素量0.4~0.6kg/a(0.2kg/a×2回、または0.3kg/a×2回)としたものである。そこで、施肥量はキヌヒカリ並で良いと思われる。
2.
穂数が350~400本/m2の範囲内で収量が高い傾向にあるので、目標穂数は350~400本/m2程度とする。また、穂数が330本/m2を下回ると減収している例が増えるので注意する。
図表1 218202-1.gif
図表2 218202-2.gif
図表3 218202-3.gif
カテゴリ 水稲 施肥 品種 品質確保 良食味

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