肉用奥美濃古地鶏の雌種鶏における黒色羽装ひな発生防止技術の開発

タイトル 肉用奥美濃古地鶏の雌種鶏における黒色羽装ひな発生防止技術の開発
担当機関 岐阜畜研
研究期間 2004~2006
研究担当者 伊藤愼一(岐阜大)
加藤未来(岐阜大)
三輪充(岐阜大)
小川正幸
早川博
村山美穂(岐阜大)
大谷健
発行年度 2006
要約 肉用奥美濃古地鶏の雌種鶏(白色プリマスロック種雄とロードアイランドレッド種雌とのF1)における黒色羽装ひなの発生は、父系の白色プリマスロック種から茶色羽装を発現する遺伝子を保有する個体をDNAマーカーを利用した識別法で識別・選抜することで防止できる。
キーワード 肉用奥美濃古地鶏、雌種鶏、黒色羽装、MC1R、DNAマーカー
背景・ねらい 褐色羽装の肉用奥美濃古地鶏の雌種鶏は、白色プリマスロック種(WPR)の雄とロードアイランドレッド種(RIR)の雌との交配により生産されている。近年、この雌種鶏に黒色羽装ひなが発生するようになり、コマーシャル鶏の褐色羽装を確保するため黒色羽装ひなを全て淘汰している。そのため生産現場からは黒色羽装除去技術の開発が強く要望されている。鶏の黒色羽装に関係する遺伝子には黒色拡張遺伝子(E)があり、この座位の原因遺伝子はメラノコルチン1レセプター(MC1R)遺伝子として知られている。
そこで、MC1R遺伝子の多型と羽装との関係を解析することで、黒色羽装を発現する対立遺伝子を特定し、この遺伝子保有個体を識別淘汰することで肉用奥美濃古地鶏の雌種鶏における黒色羽装ひなの発生の防止を目指すものである。

成果の内容・特徴 1.
肉用奥美濃古地鶏の雌種鶏の親に用いられる白色プリマスロック種(WPR)及びロードアイランドレッド種(RIR)の集団には、E座位の4種類の対立遺伝子(E、ER、e、e)とMC1R遺伝子に6箇所のアミノ酸置換を伴う一塩基多型がある(表1)。
2.
ひなの黒色羽装の対立遺伝子は白色プリマスロック種に由来するE及びEで、茶色羽装の対立遺伝子は白色プリマスロック種に由来するeである。なおロードアイランドレッド種に由来するeを保有するe/eのひなには、茶色羽装の他に黒色羽装に似た黒褐色羽装(タイプ2)のひなが出現する場合がある。(表2、3)。
3.
3箇所の一塩基多型(Glu92Lys、Thr143Ala、His215Pro)を利用することで、E座位の4種類の対立遺伝子を判定することができ、茶色羽装の対立遺伝子eはMC1R遺伝子のHis215Proで識別できる(表1)。
4.
His215ProについてはPCR-RFLP法で、Glu92Lys、Thr143Alaについてはアリル特異的プライマーを用いたPCR法で判定できる。
5.
の保有の有無をHis215ProのPCR-RFLP法で判定し、白色プリマスロック種の集団をeに固定することで、黒色羽装を発現するE及びEを保有する個体が淘汰され、ロードアイランドレッド種との交配によるひなには、黒褐色羽装は出現する(6.6%)が黒色羽装は出現しない(0.0%)(図1)。
6.
PCR-RFLP法による遺伝子型判定は後代検定による遺伝子型の判定に比べ、低コストで短期間に選抜固定が可能である。

成果の活用面・留意点 1.
本成果に用いられている白色プリマスロック種は劣性白遺伝子を持つ系統で、同じ系統を利用した特産鶏の種鶏場で活用できる。
2.
黒褐色羽装ひなの排除は、ロードアイランドレッド種の集団をeに固定することにより可能と考えられる。
3.
黒色羽装(タイプ1)と黒褐色羽装(タイプ2)の識別が難しく注意を要する(図1)。

図表1 218267-1.jpg
図表2 218267-2.gif
図表3 218267-3.gif
図表4 218267-4.gif
カテゴリ DNAマーカー 低コスト

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