ソルガム類における土壌養分吸収のタイプ・品種間差異

タイトル ソルガム類における土壌養分吸収のタイプ・品種間差異
担当機関 長野畜試
研究期間 2001~2005
研究担当者 水流正裕
高井智之
百瀬義男
中山利明
宮坂幸弘
渡辺晴彦
発行年度 2006
要約 ソルガムにおけるN, P2O5, K2O, CaO, MgOの作物体乾物中濃度および単位面積あたりの吸収量はタイプ・品種によって異なり、スーダン型ソルガムまたはスーダングラスの中にクリーニングクロップとして有望な品種がある。
背景・ねらい 土壌に過剰蓄積した窒素や塩類の除去を目的としてソルガム類のクリーニングクロップとしての利用が増加している。クリーニングクロップでは、過剰養分を吸収した作物を圃場外に持ち出すことから、成分濃度が高く、吸収量が多い作物が望ましい。これまで飼料用に育成されてきたソルガム類は、遺伝的変異が多様であることから、タイプ・品種間に吸肥特性の差があることが考えられる。そこで、ソルガム類のタイプ・品種に注目して土壌養分(N, P2O5, K2O, CaO, MgO)の吸収特性(作物体乾物濃度、単位面積あたり吸収量)を検討する。

成果の内容・特徴 1.
2002年と2005年(試験圃場の変更により再調査)のソルガム奨励品種決定調査に供した全53品種について、N, P2O5, K2O, CaO, MgOの作物体乾物濃度と単位面積あたり吸収量を調査した。
2.
品種間の作物体中乾物濃度差(最大/最小)は、N:2.4倍、P2O5:2.6倍、K2O:3.0倍、CaO:2.5倍、MgO:2.3倍、また、単位面積あたりの土壌養分吸収量(最大/最小)の品種間差は、N:2.9倍、P2O5:2.3倍、K2O:5.3倍、CaO:4.7倍、MgO:3.5倍で、いずれもK2Oで大きい。両年次の作物体乾物中濃度、単位面積あたり吸収量の順位相関係数はMgO,K2O,Nで高い(表1)。
3.
子実型・兼用型・ソルゴー型ソルガムの養分吸収量は、単位面積あたりの乾物収量に影響される。これに対して、スーダン型ソルガムおよびスーダングラスでは、作物体乾物濃度の品種間差が大きく、養分吸収量には乾物収量とともに乾物濃度の影響が大きい。この傾向は飼料作で過剰が問題にされるNとK2Oで顕著である(図1, 表2)。
4.
スーダン型ソルガムに属する「SS701(つちたろう)」はP2O5を除き作物体中乾物濃度が高く、養分吸収量が多いため、クリーニングクロップとして実用性が高い。

成果の活用面・留意点 1.
ソルガム類をクリーニングクロップとして利用する際の指標として利用できる。
2.
本成績は、標高750mの黒ぼく土壌で、堆肥を20年以上に渡って5t/10a以上連用した圃場における成績である。
3.
養分吸収量が多い場合、硝酸態窒素が高いことがあるので、飼料としての利用には注意が必要である。

図表1 218293-1.gif
図表2 218293-2.gif
図表3 218293-3.gif
カテゴリ くり 飼料用作物 ソルガム 品種

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