タイトル | 約2週間の曝気処理で豚ふん尿液状コンポストの品質は改善される |
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担当機関 | 茨城畜セ |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
井上雅美 羽成勤 岡村英明 吉尾卓宏 眞部幸子 |
発行年度 | 2006 |
要約 | 豚ふん尿液状コンポストを曝気量約2m3/h・m3で連続曝気処理したところ、約2週間以内に窒素成分割合の大きな変動が起こる。また、発芽への悪影響も少なくなり、大腸菌群数も減少し、取り扱いやすくなる。 |
キーワード | 液状コンポスト、窒素、発芽率、大腸菌群数 |
背景・ねらい | 家畜ふん尿液状物の処理に関して、水系への影響を特に考慮しなければならない地域では、浄化・放流以外の適正な処理・利用方法が求められている。その中で、肥料としての利用は、資源の有効利用という面では良いが、適正な管理を行わなければ新たな環境負荷につながりかねない。そこで、家畜ふん尿の液状物を適正に利用していくために、肥料としての調製方法を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. SSで約15,000mg/L、全窒素で約5,000mg/Lの成分濃度の豚ふん尿に対して、曝気量約2m3/h・m3の連続曝気を行う。 2. 施肥設計を行うときに重要となる窒素について、曝気処理期間中の動態を調査したところ、概ね2週間以内に有機態窒素・アンモニア態窒素の減少、硝酸態窒素の増加が認められる(図1)。また、長期間の曝気処理の影響を調査したところ、成分の割合に大きな変動は見られない(図2)。 3. 曝気処理を行った液状コンポストと、攪拌のみを行ったものの発芽率を比較したところ、曝気処理区は1週間めには影響が殆どなくなるが、攪拌区では2週間たっても発芽への影響が残る。3週間目以降は両区とも大きな差はなかった(図3)。また、大腸菌群数を比較したところ、曝気処理区は1週間で大きく減少する。攪拌区は1週間目では大きな変化はなかったが、2週間で大きく減少する(図4)。 4. 以上の結果から、豚ふん尿の肥料として利用性を向上させるには曝気処理が有効であり、その期間は概ね2週間である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 曝気期間は処理の初期濃度や曝気量の違い等、処理条件で変動する。 2. 液状コンポストの初期濃度と曝気量が今回の試験の設定条件を超えた場合、発泡により周辺環境を悪化させるおそれがある。 3. 今回の試験は、肥料としての調製方法の検討であり、液状コンポストの利用技術として活用するためには散布方法や環境への影響などを考慮した上で、システム全体として確立していく必要がある。また、普及の際には施設周辺の臭気の影響も調査していく必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 肥料 施肥 豚 |