タイトル | 水稲複合抵抗性品種「彩のかがやき」を核にした環境負荷低減型のIPM栽培事例 |
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担当機関 | 埼玉農総研 |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
矢ヶ崎健治 江村薫 根岸進 新井利行 |
発行年度 | 2006 |
要約 | 埼玉県において病害虫複合抵抗性品種、温湯消毒、肥効調節型肥料の苗箱施用(苗箱まかせ)、ケイ酸資材(イネルギー)、要防除水準に基づいた化学的防除を組合せることで、水稲IPMの概念の活用による減農薬、減化学肥料栽培ができる。 |
キーワード | IPM、複合抵抗性品種、温湯消毒、肥効調節型肥料、苗箱施用、ケイ酸資材 |
背景・ねらい | 農業生産現場からは持続可能な農業生産を、消費者からは安全・安心な農作物の供給を、市民生活面からは農用地由来の環境負荷低減を求められている。これらの問題を解決するための単独技術は確立されつつあるが、それぞれの技術が有効に組み合わされていない場合が多い。そこで、病害虫複合抵抗性品種「彩のかがやき(穂いもち、縞葉枯病、ツマグロヨコバイ抵抗性)」を核に、各種技術、効率的な農薬及び肥料の使用体系を組み合わせた水稲の減農薬、減化学肥料栽培技術を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 肥効調節型肥料の苗箱施用(苗箱まかせ)を用いることにより、窒素質肥料を30%程度削減しても慣行並みの収量が得られる(表1)。 2. 農薬は、早植では育苗時の苗立枯病予防のためタチガレンを必要とするが、それ以外は不要である。普通植ではこれに加えて、イチモンジセセリが本田調査で要防除水準に達し、農薬による防除を必要とする(表1、図1)。 3. 穂いもちが多発した平成18年は、抵抗性品種「彩のかがやき」においても早植で穂いもちが発生したが(程度は軽微)、ケイ酸資材(イネルギー)を使用することにより、発生株率の半減した(図2)。 4. 図3に埼玉県での水稲IPM技術のフローチャートを示す。予防的措置、防除の判断、防除の方法の各項目を設定し、防除の判断は、紋枯病、ニカメイチュウ、ツマグロヨコバイ、イチモンジセセリについては要防除水準に基づいて行う。 5. 以上より「病害虫複合抵抗性品種」「種子の温湯消毒」「肥効調節型肥料の苗箱施用」「ケイ酸資材」「要防除水準に基づいた化学的防除」などを組み合わせた水稲IPMでは、減農薬、減化学肥料による水稲生産が可能となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 持続可能な農業生産や安全・安心な農作物供給を可能にする、環境保全型農業の推進に活用できる。 2. 特別栽培米やエコファーマーの参考となる。 3. 近年、イナズマヨコバイとフタオビコヤガの発生が多い。今後、これらの発生動向には十分注意する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 病害虫 育苗 温湯消毒 害虫 環境負荷低減 栽培技術 縞葉枯病 水稲 立枯病 抵抗性 抵抗性品種 農薬 防除 |