タイトル | 温州萎縮ウイルス(SDV)汚染ほ場における土壌消毒の効果と台木の耐病性 |
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担当機関 | 果樹試 |
研究期間 | 1996~2005 |
研究担当者 |
芹澤拙夫 野村明子 太田光輝 増井弘子 加藤光弘 伏見典晃 神尾章子 市川健 影山智津子 岩波徹(果樹研) |
発行年度 | 2006 |
要約 | 温州萎縮病が発症した株を抜根しクロルピクリン剤で土壌消毒すると、後作にカラタチを植栽しても、10年間は再感染が認められない。台木の種類では、ナツダイダイ及びカラタチ×ナツダイダイの交雑個体は、カラタチに比較して感染が遅れる。 |
キーワード | カンキツ、ウイルス、温州萎縮病、SDV、土壌消毒、台木、耐病性 |
背景・ねらい | Satsuma Dwarf Virus(SDV)による温州萎縮病は、接木伝染及び土壌伝染するため、防除対策に注意を要する病害であるが、汚染後のほ場管理の対策法は確立されていない。そこで、汚染ほ場の発病樹及び土壌処理方法を検討するとともに、汚染ほ場における台木の耐病性を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 温州萎縮病を発病した青島温州を1995年にA除草剤で枯死、B抜根後土壌消毒剤を処理、Cそのまま生存させた後、1996~97年に図1のように発病樹(跡)から1m離れた場所に台木苗を定植し、以降毎年4月に新芽を採取してELISA法により再感染の有無を確認した。 2. 発病樹をラウンドアップで処理し枯死させる処理では、台木の定植7年後からカラタチの1樹に感染(発病樹率20%)が見られたが、その後の増加はなかった(図2A)。 3. 発病樹を抜根し、クロルピクリンで土壌消毒する処理では、台木の定植10年後までカラタチに再感染は認められない(図2B)。 4. 発病樹をそのままにしておくと、定植3年後からカラタチに感染が始まり、9年後には感染樹率100%となる(図2C)。 5. 台木の種類では、ナツダイダイ及びカラタチ×ナツダイダイの交雑個体はカラタチに比較して感染が遅く、耐病性を持つと考えられる(図2A,C)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 温州萎縮病が発生したほ場では、汚染樹をただちに抜根するとともに、土壌消毒をすることが望ましいが、クロルピクリン剤はカンキツに登録がないため、現状では使用できない。 2. ナツダイダイは、カラタチより耐病性を持つと考えられるが、樹勢が強過ぎて高品質果実を生産する台木としては利用できない。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 萎縮病 くり 栽培技術 除草剤 台木 土壌消毒 土壌処理 防除 その他のかんきつ |