肉用牛における効果的なビタミンAの投与方法

タイトル 肉用牛における効果的なビタミンAの投与方法
担当機関 静岡畜研
研究期間 2005~2007
研究担当者 永田浩章
深澤修
室伏淳一
笠井幸治
発行年度 2007
要約 購入チモシー乾草のβ-カロテン含量はロットによる影響が大きい。黒毛和種にビタミンA(VA)を投与した場合、VA製剤の種類、投与方法の違いにより血中VA濃度の推移に差が生じる。肥育後期の一時的なVA補給では肉質(肉色)への影響は認められない。
キーワード 黒毛和種、肥育牛、β-カロテン、ビタミンA
背景・ねらい
黒毛和種の肉質改善において、肥育中期にVA制限を実施している。しかし、血中VAをコントロールすることは簡単ではなく、欠乏症(筋肉水腫、しこり、食欲低下、尿道結石など)を引き起こし、生産性や品質低下を招く。そこで、粗飼料やVA製剤を用いて、より効果的なVAの投与方法を確立する。
成果の内容・特徴 1. 肥育農家の購入粗飼料中のβ-カロテン含量を調査した結果、チモシー乾草はロットによるバラつきが大きく、平均1.68mg/100gであり、ライグラス(ペレニアル、イタリアンなど)やイナワラ(自家産を含む)は、ばらつきが少なく0.04~0.13mg/100g含有している(表1)。
2. 血中VA濃度50IU/dl以下の黒毛和種肥育牛40頭を用いて、VA経口投与剤3種類(PO-A:VAD3E+B群とアルコール等を含有、B:VAD3Eを含有、C:VAのみ含むビタミン剤)および筋肉内注射剤(IM:VAD3Eを高濃度に含むビタミン剤)を、100万IU/頭投与した結果、投与方法別について、経口投与は1日目、筋肉内注射は7日目で血中濃度が最高値に達し、経口投与で吸収が速い。また、VA製剤の種類の違いにより、血中VA濃度の推移に差がみられ、VAD3Eを含むVA製剤が高い血中レベルを示す。(図1)
3. イナワラ1~2kg/頭を給与する黒毛和種12頭(平均月齢20.1ヵ月、体重534kg)にルーサンペレット100gもしくはヘイキューブ200g/日/頭を給与することで血中VA濃度を維持できることが示唆される(図2)。
4. 一時的なVA補給と肉質の影響を調査するために、肥育後期の出荷30日前の黒毛和種に経口VA製剤100万IU、200万IU投与し、無投与区の枝肉の肉色等を比較したが差は認められない(表2)。
成果の活用面・留意点
1. 購入粗飼料中のβ-カロテン含量を把握したことから、黒毛和種牛の肥育中期において、粗飼料給与によるVAコントロールの参考情報とする。
2. 肥育牛のVA欠乏症による損耗を防ぐために、VA製剤投与後の血中VA濃度の推移を活用することで、肉質(肉色など)に影響のない効果的なVA投与方法を選択することができる。
図表1 218519-1.gif
図表2 218519-2.gif
図表3 218519-3.gif
図表4 218519-4.gif
カテゴリ 出荷調整 肉牛 ばら

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