鶏法定伝染病発生時に対応した鶏卵生産抑制技術

タイトル 鶏法定伝染病発生時に対応した鶏卵生産抑制技術
担当機関 埼玉農総研
研究期間 2005~2005
研究担当者 山上善久
平野晃司
発行年度 2007
要約 鶏法定伝染病の発生時の鶏卵流通の停滞時などに、産卵ピークにある採卵鶏に対して短期間の休産誘導処理を行うには7日間以上の絶食法が確実であり、低栄養飼料切替法は産卵ピークの鶏に対しては適用できない。絶食法において体重減少率と休産日数には直線関係が見られる。
キーワード ニワトリ、採卵鶏、休産誘導、法定伝染病、低栄養飼料、フスマ
背景・ねらい 平成16年以来、鳥インフルエンザの発生が度重なり、発生時における生産物の移動制限措置の緩和(ウイルスが検出されない場合には流通可能)がなされたが、多くの鶏卵や廃鶏の取引が不調に終わり廃棄にいたっている。そのため、採卵鶏の飼養管理による対策として、休産誘導の必要性が説かれている。休産誘導法は60数週齢の鶏のリフレッシュ産卵や卵質改善のために実用化されている。そこで、あらゆる鶏齢に適用が可能な休産誘導法を明らかにするため、特に初産後まもない産卵ピークの鶏を対象とした休産誘起にねらいを置き、絶食法および低栄養飼料切替法の適用の可能性を検討する。低栄養飼料切替法にはフスマ主体飼料を用いた。

成果の内容・特徴 1.
低栄養飼料はフスマ95.45%,炭酸カルシウム4.2%,食塩0.25%,ビタミンプレミックス0.1%を配合したものを使用する。
2.
絶食処理により体重減少率が大きい区ほど産卵は抑制され,体重減少率と休産期間との間には直線関係が認められる。区全体の鶏が産卵を休止したのは7日区と10日区であることから、産卵ピークの鶏には7日間以上の絶食法が確実である(図1、図2)。
3.
低栄養飼料切替法の場合、平均休産日数は処理期間の最も長い10日区でも2.4日間と絶食区より短く、全ての区で鶏群の完全休産日は見られない。体重減少率も10日区の14.0%が最大で絶食区よりも小さく、飼料摂取量も通常の半分程度までしか落ちず、産卵率は最も処理期間の長い10日区でも50%程度までしか低下しない(図1)。したがって低栄養飼料切替法は産卵ピークの鶏では休産誘導には適用できない。
4.
休産誘導処理解除約1週間後にはすべての区で元の産卵率まで回復する(図1)。平均産卵率は低栄養区よりも絶食区、また処理期間が長い区ほど低い。
5.
絶食期間中の生産卵には卵殻厚の低下、水様卵白の欠如などが認められる。
6.
斃死鶏は低栄養飼料切替法の10日区で28週齢に発生した脱肛による1羽のみで、他は各区とも生存率は100%で、全体に健康状態は良好であった。

成果の活用面・留意点 1.
休産誘導処理中の第2卵以降の卵には卵殻強度等で、また産卵再開後第1卵は高率な肉斑の出現等で卵質が不良である。
2.
絶食法を実施する場合は、サルモネラ排菌の危険等を十分留意する必要がある
3.
絶食法では、体重減少率と休産期間との間には直線関係が認められ、体重減少率から休産日数を推定できる可能性がある。

図表1 218553-1.gif
図表2 218553-2.gif
カテゴリ 飼育技術

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