タイトル | メタン発酵消化液の超臨界水中燃焼法による効率的処理方法 |
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担当機関 | 静岡中小研セ |
研究期間 | 2005~2007 |
研究担当者 |
杉山 典 中村茂和 |
発行年度 | 2007 |
要約 | メタン発酵消化液の超臨界水中燃焼法による分解処理を検討した。反応温度の検討では560℃では安定的な窒素分分解ができないことから、600℃以上の燃焼温度が完全分解には最低温度となる。 |
キーワード | 超臨界水中燃焼、メタン発酵消化液 |
背景・ねらい | 家畜排せつ物のメタン発酵によるエネルギー回収はバイオマスの利活用として注目されているが、耕地等へ還元できない消化液の処理が課題となっている。水熱反応の一つである超臨界水中燃焼技術により余剰の消化液を効率的に分解する方法を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 燃焼試験は18Lの容量がある流通式超臨界水中燃焼装置を用いて実施し、燃焼条件として装置を560℃と600℃でともに燃焼圧力15MPaに保持し、当場のメタン発酵消化液(含水率80%、処理速度0.6kg/h)と燃焼に必要な空気を連続的に注入し、滞留時間を32-44分間に設定。豚糞由来のメタン発酵消化液の元素組成比は炭素:水素:酸素:窒素が40.9:6.1:37.6:4.0である。 1. 全有機炭素(TOC)分析結果による炭素の分解率は560℃、600℃の反応温度ともに100%である。 2. 600℃の反応温度と比較して560℃では窒素の気化変換が悪く、排出液中の窒素分濃度も高い(図1、2)。 3. 酸素比率(供給酸素量/消化液燃焼に必要な化学量論の酸素量)は、600℃では3-6(図3)、560℃では1-4であった(図4)。このことから600℃未満では有機物燃焼が不完全となり不完全な酸化反応に要する酸素が安定しないことから、完全燃焼の最低温度は600℃と考えられる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 余剰消化液の処理法として超臨界水中燃焼法は短時間に炭素、窒素分を完全分解できることから有効な処理法である。個々の農家より、市町村の有機性廃棄物処理施設等で利用性の高い処理法である。 2. 燃焼に供した消化液の窒素量は4800mg/Lと試算されることから、600℃処理後の窒素分排出に若干の変動はあるが、いずれも20mg/L以下であることから気化変換はほぼ100%である。 3. 600℃以上の燃焼温度で安定的な分解が期待できる。それ以下の温度では化学量論的に燃焼に必要な酸素量を供給しても、実際の燃焼試験では炭素残渣等により燃焼後の気液排出段階で閉塞が起こりやすいことから、完全燃焼に必要な酸素量を安定的に供給する工程の開発が課題となる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 豚 メタン発酵消化液 |