ナス一代交雑品種「サラダ紫」の育成

タイトル ナス一代交雑品種「サラダ紫」の育成
担当機関 経営情報研究部
研究期間 2003~2007
研究担当者 曽我綾香
池上隆之(株式会社サカタのタネ)
北浦健生
北宜裕
発行年度 2007
キーワード ナス、一代交雑品種、多汁質、生食用、サラダ
背景・ねらい 多くの野菜でサラダ需要が高まっている中で、現在栽培されているナス品種は、いずれも果肉がスポンジ状でジューシーさはなく、生食利用には向いていないため、収穫後、手を加えずにサラダとしてそのまま利用できるナス品種を育成する。

成果の内容・特徴 1.
育成経過
2003年に、在来ナス品種で「橘田」、「真黒」を含む15系統および(株)サカタのタネ育成系統を用いて一代交雑21系統を、2004年に同24系統を得た。2005年にこれらの検定栽培を行い、当初の育種目標に合致した「SN2」および「SN6」の2系統を選抜した。2006年にこの2系統を神奈川県内36箇所で試作するとともに、所内で生産力検定と品質評価を行い、最終的に「SN6」を選抜した。2007年に「千両二号」および「紫水」を対照に特性検定栽培を行った結果、「SN6」は、果形、果実品質、草姿、葉色、花房当たりの花数、トゲの発生程度等において、対照品種と明確な区別性が認められるとともに、実用レベルでの十分な収量性を有していることが明らかになったことから品種登録申請し、その後、「サラダ紫」と名称変更申請した。
2.品種特性
1)
「サラダ紫」の植物体は、立性で伸長性がよく、葉の大きさおよび茎の太さは中であるが、葉茎ともに濃紫色でとげの発生がやや多い。第1花着生節位は11.2節で対照品種に比べやや晩生である。1花房当たりの着生花数は平均3.8花と多く(表1)、商品性のある果実が2~3番花まで収穫できる点で「千両二号」および「紫水」とは明確に異なる。
2)
「サラダ紫」の果実は巾着型、へたは濃紫色、果肉は柔らかく、極めて多汁質なため、比重が0.9g/cm3と重い。また、「千両二号」および「紫水」に比べ糖含量はやや多い(表1、図1)。
3)
「サラダ紫」の商品性が最も高い収穫適期の平均果重は120g程度と重いので、「千両二号」と比べ、総収穫果数はやや少ないものの収量性は高い(表2)。

成果の活用面・留意点 1.
特筆すべき病害抵抗性は持たないので、土壌病害発生地では接ぎ木栽培する。
2.
早熟から夏秋作型が適し、早熟作型ではトンネル被覆して保温し、初期の草勢を確保する。
3.
果実の肥大に水分をより多く必要とするため、水分の豊富な土壌に作付けするか、潅水設備のあるほ場で栽培する。
4.
安定した草勢を維持するために、追肥は2週間に1回程度と頻度を多くし、肥切れしないよう注意する。
5.
果実が巾着型のため、一般品種の品質規格を適用すると変形果と分類される割合が高くなる(表2)。
6.
本品種は、神奈川県種苗協同組合が特許権等実施許諾を受けて、当面は神奈川県内限定で種苗を販売する。

図表1 218632-1.jpg
図表2 218632-2.gif
図表3 218632-3.gif
カテゴリ 育種 接ぎ木 なす 病害抵抗性 品種

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