タイトル | ピリプロキシフェン剤のクワシロカイガラムシに対する防除効果と天敵類への影響 |
---|---|
担当機関 | 静岡農技研(茶研セ) |
研究期間 | 2004~2007 |
研究担当者 |
金子修治 小杉由紀夫 小澤朗人 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 幼若ホルモン系IGR剤ピリプロキシフェンを早春期に散布することにより、クワシロカイガラムシ第2世代までを長期間密度抑制できる。本剤は、天敵寄生蜂チビトビコバチに対する影響はないが、捕食性天敵ハレヤヒメテントウに対する影響は3ヶ月以上持続する。 |
キーワード | チャ、クワシロカイガラムシ、IGR、ピリプロキシフェン、天敵 |
背景・ねらい | 静岡県では、既存殺虫剤に対する薬剤感受性の低下などの要因によりクワシロカイガラムシの防除が困難となっている。そこで、幼若ホルモン系の新規IGR剤であるピリプロキシフェン(商品名:プルートMC)の本害虫に対する防除効果を明らかにするとともに、クワシロカイガラムシの主要な土着天敵であるチビトビコバチとハレヤヒメテントウに対する本剤の影響を評価する。 |
成果の内容・特徴 | 1. ピリプロキシフェン剤1,000倍希釈液の3月上旬散布によるクワシロカイガラムシ第1世代に対する防除効果は、対照のフェンピロキシメート・ブプロフェジン水和剤1,000倍希釈液またはDMTP乳剤1,000倍希釈液の5月散布に比べて同等または高い(図1)。 2. ピリプロキシフェン剤3月上旬散布では、7月に発生するクワシロカイガラムシ第2世代に対する防除効果も認められる(図1)。しかし、第3世代に対する防除効果は弱まる(図1)。 3. ピリプロキシフェン剤の天敵寄生蜂チビトビコバチの成虫及びマミー(蛹)に対する殺虫作用は認められない(表1)。 4. ピリプロキシフェン剤1,000倍液は、ハレヤヒメテントウ幼虫に対する強い羽化阻害作用があり(表2)、この作用は3ヶ月以上持続する(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ハレヤヒメテントウが発生している茶園では、本剤がテントウの増殖や活動に影響する可能性があるので注意する。 2. ピリプロキシフェン剤は、昆虫だけに作用する幼若ホルモン活性物質を成分とした昆虫成育制御剤(IGR剤)であり、昆虫の変態を阻害する。 3. ピリプロキシフェン剤(商品名:プルートMC)は、2007年12月28日に農薬登録された(作物名:チャ、適用害虫名:クワシロカイガラムシ)。 4. ピリプロキシフェン剤はカイコに対する影響が強いので、桑園周辺の使用(半径10km以内)は規制され、また、使用後の空容器の回収が義務づけられる。 5. クワシロカイガラムシ防除に当たっては、農薬の防除効果に過度に依存するのではなく、土着天敵の保護・活用に配慮する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 カイコ 害虫 桑 茶 土着天敵 農薬 防除 薬剤 |