タイトル | 早期栽培におけるコシヒカリの疎植限界密度 |
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担当機関 | 伊賀農業研究室 |
研究期間 | 2003~2007 |
研究担当者 |
中山幸則 北野順一 神田幸英 山川智大 |
発行年度 | 2007 |
要約 | コシヒカリの栽植密度は13株/m2までであれば、21株/m2程度の標準密度と比較して収量差は認められず、整粒歩合および玄米蛋白質含量への影響は小さく、倒伏は軽減される。 |
キーワード | コシヒカリ、疎植、収量、整粒歩合、玄米蛋白質、倒伏 |
背景・ねらい | 三重県では稲作経営規模が拡大する中、育苗期から田植期の労力軽減、コスト低減のため疎植栽培に取り組む農家が増加している。また、近年の温暖化は水稲の生育を旺盛にし、疎植栽培においても茎数確保が容易になっていると推察される。一方、県の主要品種であるコシヒカリを疎植栽培した場合の収量および品質への影響について具体的に示したデータは少なく、疎植栽培についてマニュアル化されたものはない。そこで、栽植密度試験により収量および品質への影響を検討し、適正栽植密度を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 収量は栽植密度が12株/m2以下になると減少する傾向にあるが(図1)、13~16株/m2の栽植密度では標準密度との差は認められない(表1)。 2. 13~16株/m2の栽植密度では標準密度と比較し穂数が減少し一穂籾数が増加するが、単位面積当たりの籾数、登熟歩合および千粒重に差は認められない(表1)。 3. 整粒歩合は伊賀では栽植密度が12株/m2以下では高まるが、松阪では栽植密度との一定の関係はみられない(図1)。一方、いずれの試験場所においても、13~16株/m2の栽植密度では整粒歩合に標準密度との差は認められない(表1)。 4. 栽植密度が10株/m2以下になると玄米蛋白質含量はやや高まる傾向にあるが(図1)、13~16株/m2の栽植密度では標準密度との差は小さい(表1)。 5. 疎植化することで倒伏程度は小さくなる(図1)。13~16株/m2の栽植密度においても標準密度と比較し稈長はやや長くなるが、倒伏程度はやや小さくなる(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 伊勢平坦と伊賀地域の早期栽培地帯におけるコシヒカリの稚苗移植に適応する。 2. 13株/m2の栽植密度であれば現行の田植機により対応可能で、苗箱数は4割程度削減できる。 3. 当試験は欠株がほとんどない条件で実施しており、疎植条件で欠株が生じた場合の収量への影響は標準密度より大きくなると考えられることから留意が必要である。 4. 雑草防除の面から、疎植では標準密度に比較し要防除期間がやや長くなると考えられ、留意が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 育苗 経営管理 雑草 低コスト 品種 防除 |