豚ふんの油化反応と油化物の有機物分析

タイトル 豚ふんの油化反応と油化物の有機物分析
担当機関 静岡畜技研中小
研究期間 2006~2008
研究担当者 杉山 典
中村茂和
黒田博道
発行年度 2008
要約 保存性が高く、移動も容易なバイオマスの変換技術として、豚ふんの油化反応を検討する。温度350℃、圧力10MPa(約100気圧)、酸素比1.4の条件により油化反応を行うとグリース剤に類似した構造の産物が生成される。
背景・ねらい 豚ふんに含まれる有機物は温度650℃、圧力15MPa以上の超臨界水中燃焼条件下で完全分解することが可能で、分解による熱エネルギーの回収も期待できる。  しかし、分解産物の利用法を考えると熱エネルギーは保存性に乏しく、移動による損失も大きい。そこで、超臨界反応より低温、低圧な条件で豚ふんの油化反応を行い、「熱」より保存性や、移動性が高い「油脂資源」への変換方法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 豚ふん(含水率80%)に油化反応の触媒として1NのNaOHを等量混合する。混合後、流通式超臨界水中燃焼装置(内容積16L)を用いて温度350℃、圧力10MPa、酸素比1.4(元素分析より算出した豚ふんに含まれる酸素量に対して、燃焼のために供給する酸素量の比率)により6時間油化処理する。油化反応後に産物の油層成分をFT-IR(フーリエ変換赤外分光)法により分光的分析を行う。
  2. 反応後の分析では脂肪族炭化水素に関連した2,850 cm-1、2,919 cm-1のピークが高く検出される(図1)。
  3. 反応前に検出された窒素化合物やタンパク質関連の1,575 cm-1のピークは消失する(図1)。
  4. 既知有機化合物ライブラリーとの構造比較では、豚ふんの油化反応産物はApiezon(グリース剤)や、Petrolatum(ワセリン)などと高い類似構造を示すものが得られる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 油化反応は有機物の完全分解の条件より低温、低圧で進行する。
  2. 油化反応は短時間で進行することから堆肥化のような広いスペースを必要としない。
  3. 豚ふんの油化反応では炭化水素化合物が生成されやすいが、原材料に窒素源が多く含まれることから分光的分析では検出しにくい窒素化合物を生成する可能性もある。
  4. 定性的な検討に留まらず、反応産物の定量的な試験を行う必要がある。
図表1 218826-1.gif
図表2 218826-2.gif
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