タイトル |
煎茶用品種「香駿」の釜炒り茶適性と萎凋香発揚特性 |
担当機関 |
静岡農技研(茶研セ) |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
鈴木康孝
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発行年度 |
2008 |
要約 |
煎茶用品種「香駿」の釜炒り茶適性は、香気面で「やぶきた」と比較して高い。生葉の萎凋処理により、香気が高まるとともにバラ様の甘い花香が発揚する。また、萎凋処理によりゲラニオール等の香気成分が著しく増加する。
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キーワード |
チャ、品種、香駿、釜炒り茶、萎凋、香気、花香、ゲラニオール
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背景・ねらい |
「やぶきた」偏重を是正するためには、特徴のある新品種育成やそれらの品種を用いた商品化が重要である。そこで、香気に特徴のある「香駿」を用いた個性的な商品づくりの可能性を探るために、「香駿」の釜炒り茶適性と萎凋香発揚特性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 1. 釜炒り製法における「香駿」の香気の評価は、一番茶、二番茶とも「やぶきた」と比較して高い。一番茶の滋味では同等である(図1)。
- 2. 人工萎凋機を用いて生葉に38℃の温風を送風し萎凋させることにより発揚する香気は、一番茶、二番茶とも「香駿」の方が「やぶきた」と比較して評価が高い(図2)。
- 3. 「香駿」の萎凋香の特徴は、検査者の概評によるとバラ様の甘い花香、ミルキー、フルーティー等であり、また、萎凋により香気が高まる傾向である(データ省略)。
- 4. 萎凋処理により、ゲラニオール、リナロールオキサイド等の萎凋香に関与すると考えられる香気成分が増加し、増加率は「香駿」が「やぶきた」に比較して高い傾向である(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「香駿」を釜炒り、または、萎凋処理して蒸し製または釜炒り製で製茶すると、「やぶきた」よりも良好な香りを有する商品化が可能である。
- 製茶条件は、蒸し製の蒸熱時間が45秒、釜炒り製が葉温め400~450℃90秒、包熱300℃90秒、葉振い250℃7~12分である。
- 香気の評価は、官能検査によりカテゴリー評点(2006年は5段階、2008年は10段階)で評価した。検査者は2006年が熊本県茶業研究所研究員2名(合議制)、茶商3名、消費者1名、2008年は静岡県茶業研究センター研究員4名、茶商1名、生産者1名、消費者2名である。
- 香気成分の分析は、カラム濃縮法により香気成分を抽出し、GC分析した。成分の同定は標品の保持時間から推定し、成分量の比較は内部標準とのピーク面積比で求めた。内部標準はシクロヘキサノールを用いた。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
新品種育成
茶
ばら
品種
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