タイトル |
細粒黄色土壌での10年間施肥量削減が一、二番茶の品質等に及ぼす影響 |
担当機関 |
静岡農技研(茶研セ) |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
小杉徹
成島光昭
松浦英之
太田充
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発行年度 |
2008 |
要約 |
年間窒素施用量54kg/10a(現行施肥基準)より減らした施肥を、10年間継続しても、年間窒素施用量40kg/10aでは、生育、収量、品質等に差が認められず、窒素施用量削減の影響はみられない。
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キーワード |
チャ、施肥量削減、連用試験、全窒素、品質評価、収量
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背景・ねらい |
茶園での施用量は、他の永年作物と比較して多く、溶脱した肥料成分が環境に及ぼす影響が指摘されている。現行の施肥基準では、地下水等の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素濃度が環境基準を超過することが危惧されるため、環境に配慮した施肥が求められている。ここでは、10アール当たりの年間窒素施肥量をそれぞれ0kg、27kg、40kg、54kgとし、1998年から10年継続したほ場(9年目から11年目)において、施肥量の違いが茶樹の生育、収量、品質等に及ぼす影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 窒素施用量削減の継続により、0㎏及び27㎏では摘芽数の減少傾向が認められるが、40kgと54kgの間で差は認められない。出開き度は、ほとんど差が認められない(表1)。
- 一番茶荒茶の品質評価では、0kgでは劣る年が多いが、27kg、40kg、54kgの差は明らかでない(表2)。
- 収量は、0㎏で一、二番茶ともに減少する。27㎏では二番茶が減少する。40㎏と54㎏との間では、一、二番茶ともに収量の差は認められず、施肥量の違いによる影響は認められない(表3)。
- 全窒素含有率は、一番茶では明らかな差が認められない。二番茶では、0kgでやや低い傾向が認められるが、27kg、40kg、54kgでは差が認められない。また、施肥窒素利用率は施肥量が増加するほど低下し、窒素利用率は54kgが劣る(表3)。
- 枠摘み重量と窒素含有率の間には、枠摘み重量の増加にともない窒素含有率が低下する負の相関が認められるが、枠摘み重量の増加にともなう窒素含有率低下の傾きは27kg、40kg、54kgで差は認められず、0kgに比べ小さい(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 試験ほ場は静岡県茶業研究センター内にあり、土壌は細粒黄色土である。
- 静岡県チャ施肥基準(一般成木園)の中で10アールあたり年間窒素施用量決定のための基礎資料とする。
- 2月中旬に春肥Ⅰ、3月上旬に春肥Ⅱ、3月下旬に芽だし肥、5月上旬に夏肥Ⅰ、7月上旬に夏肥Ⅱ、8月下旬に秋肥Ⅰ、9月中旬に秋肥Ⅱを施用する。リン酸、カリも窒素量と同比率で削減し、施用している。
- 8年目までの収量調査結果は、2005年の成果情報として報告した。
- 1983年定植「やぶきた」での調査結果である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
栽培技術
施肥
茶
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