点滴灌水を利用した茶園のケナガカブリダニの保護利用

タイトル 点滴灌水を利用した茶園のケナガカブリダニの保護利用
担当機関 三重農研
研究期間 2004~2006
研究担当者 富所康広
磯部宏治
発行年度 2008
要約 点滴灌水を利用するとカンザワハダニの密度が抑制される。これは、茶樹の樹冠内がケナガカブリダニの発育に適した環境になることが一因であり、点滴灌水のみによってケナガカブリダニの保護利用を図ることができる。
キーワード チャ、土着天敵、ケナガカブリダニ、点滴灌水、カンザワハダニ
背景・ねらい カンザワハダニの土着天敵であるケナガカブリダニは、相対湿度が70%以下になると卵の孵化率と幼虫の発育率が低下し、その発育には高湿度環境が適していることが分かっている。この生態的特徴から、点滴灌水によるケナガカブリダニの保護利用の可能性が考えられる。そこで、点滴灌水の利用がカンザワハダニとケナガカブリダニの発生に及ぼす影響、茶樹の樹冠内の湿度環境に及ぼす影響を調査し、点滴灌水によるケナガカブリダニの保護利用効果を明らかにするとともに、点滴灌水チューブの害虫制御への利用を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 1点滴灌水を利用すると、カンザワハダニの密度が抑制される(図1)。
  2. 2ケナガカブリダニは早い時期から増加する(図1)。さらに、灌水期間中はカンザワハダニに対するケナガカブリダニの個体数が多く、ケナガカブリダニが増加しやすい傾向にある(図2)。
  3. 点滴灌水によって、相対湿度が70%以上となる時間が増え日中の相対湿度も高くなり、樹冠内はケナガカブリダニの発育に適した環境になる(図3)。
  4. 樹冠内の湿度環境の変化がカンザワハダニの密度抑制の一因であり、点滴灌水によってケナガカブリダニの保護利用を図ることができる。
成果の活用面・留意点
  1. 1. 点滴灌水チューブ(ポリエチレン製、圧力補正機構付き、ドリッパー間隔:30cm、吐出量:2.3L/h)を茶樹の樹冠下雨落ち部に1本ずつ設置し、自動灌水コントローラーを用いて毎日10a当たり4tの灌水を行う。
  2. 2. 点滴灌水を開始してからケナガカブリダニの密度が増加するまで10~15日程度を要するため、カンザワハダニの密度が低い時期に点滴灌水を開始する必要がある。
図表1 218895-1.gif
図表2 218895-2.gif
図表3 218895-3.gif
カテゴリ 害虫 土着天敵

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