タイトル | 遊休棚田の山羊を使った土壌保全的雑草管理・利用技術 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
吉川省子 川嶋浩樹 長崎裕司 的場和弘 野中瑞生 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 遊休化した棚田に山羊放牧技術を導入することにより、土壌を保全しながら植生を管理することができ、遊休地を利用した果樹や小家畜等の生産も可能となる。 |
キーワード | 遊休棚田、雑草管理、土壌保全、山羊 |
背景・ねらい | 四国山間傾斜地域では農地の遊休化が進行し、その抑制と発生した遊休地の管理のための対策が急務である。遊休化した棚田は小区画で急傾斜の法面を含み、多様な雑草・灌木が急速に繁茂するが、農村の高齢化と労働力不足のため、省力的な管理技術の確立が求められている。そこで山羊の放牧による雑草管理技術を導入することにより、土壌を保全しながら植生管理を省力的に行うとともに、遊休棚田を利用した新たな生産技術体系を構築する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 遊休後数年経過し、ススキ・クズ等の強勢雑草が優占、繁茂した棚田・法面においては、多頭数(7~8頭/10a)での放牧を1カ月程度行い、その後、少頭数(1~2頭)での放牧を継続することにより、雑草量は低減し、低草高の状態で安定的に維持できる。(図1) 2. 遊休棚田に山羊を放牧すると、遊休状態に比べ表層土壌の緻密化、透水性の低下等の物理性や、栄養塩類の増加等の化学性の変化が起きるが、作物の栽培に障害となる程の変化はなく、再び農地として利用できる。(表1) 3. 山羊の放牧管理における施設設計・設置、衛生、繁殖、飼養等の方法についての管理マニュアルを作成した。(表2) |
成果の活用面・留意点 | 1. 10アールあたり1~2頭で管理された遊休棚田は、粗放管理可能な果樹や花木を植栽する園芸的な利用や、仔山羊販売や鶏の放飼いなどの畜産的な利用ができる。(図2) 2. 牛に比べ小面積、急傾斜の遊休地で特に適用性が優れる。 3. 本技術は四国以外にも適用できるが、地域により雑草の植生、生育速度などが異なるので、放牧圧は適正に調整する。 4. 果樹、花木を植栽する場合は、山羊による食害防止のため、周囲に柵を設置する。 5. 山羊管理マニュアルは、近中四農研センター「遊休農地の管理・利用と山羊飼養マニュアル」として発行される。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 管理技術 きく 傾斜地 雑草 植生管理 鶏 繁殖性改善 放牧技術 山羊 |