タイトル | COI領域の変異に基づくハモグリバエ3種の簡易同定法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
三浦一芸 太田泉 大泰司誠 田上陽介(広島大学) |
発行年度 | 2001 |
要約 | COI(Cytochrome oxidase subunit I )領域に特異的なプライマーを利用してPCR法を行い、その断片長を比較することにより、形態的観察による同定が困難なトマトハモグリバエ、マメハモグリバエ、ナスハモグリバエ3種が判別できる。 |
キーワード | ハモグリバエ、COI、PCR法、プライマー |
背景・ねらい | ハモグリバエ類、特にマメハモグリバエLiriomyza trifolii、トマトハモグリバエL. sativae、ナスハモグリバエL. bryoniae は広範囲の農作物に被害を及ぼしている。これら3種は雌成虫や幼虫での形態的識別は困難なため、発生消長や動態の詳細な解析が難しく、的確な防除に支障をきたしている。そこで、遺伝子マーカーによるハモグリバエ3種の同定法を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 0.2mlのサンプルチューブにハモグリバエを個体別に入れ、磨砕液30μl(1M Tris-HCl、0.5M EDTA、5N NaCl、Chelex)中でプラスチック爪楊枝により磨砕し、Proteinase Kを2μl加えて56.0℃で2時間以上、続いて99.9℃で3分処理した抽出液をPCR法に用いる(1μl/反応)(図1)。この方法で微小な個体に対して効率的にDNA解析を行うことができる。 2. マメハモグリバエ、トマトハモグリバエおよびナスハモグリバエの3種ではCOI領域(約600bp)の塩基配列の解析結果において、複数の塩基配列に差異がある。それらの差異を利用し3種を識別可能なプライマーを設計する(図2)。 3. TaKaRa社製の簡易PCR用試薬(PerfectShotTMExTaq)の0.2mlのサンプルチューブに4つのプライマーを入れ滅菌水で50μlにする。それをPCR用器械で92℃で1分、50℃で1分、72℃で1分30秒35回繰り返す。そのサンプルを1%のアガロースゲルの電気泳動法により、トマトハモグリバエでは3本(約600bp、約400bp、約200bp)、マメハモグリバエでは2本(約600bp、約200bp)、ナスハモグリバエでは1本(約600bp)のバンドが検出される(図3)。したがって、バンドの位置や数により3種のハモグリバエを容易に区別できる。この方法で各地のハモグリバエが判別可能であることを確認した。また、卵から成虫までの各ステージで判別が可能である. |
成果の活用面・留意点 | 1. 各地圃場に発生しているマメハモグリバエ、トマトハモグリバエおよびナスハモグリバエが区別できるため、害虫管理に広く活用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 害虫 トマト なす 防除 |