タイトル | 傾斜ハウス内の平均的温度環境を推定するシミュレーションモデル |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2000~2001 |
研究担当者 |
関 平和 佐々木 華織 菅谷 博 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 傾斜ハウス内の平均的な温度環境を推定するモデルを作成した。本モデルでは,任意の日時・場所における様々な傾斜方位や傾斜角の斜面におけるハウス内の平均的な温度環境を推定できる。 |
キーワード | 傾斜ハウス、モデル、傾斜方位、傾斜角、温度環境、パラメータ |
背景・ねらい | 傾斜地では、その斜面の方位や傾斜角の違いによって、入射する太陽エネルギーが大きく変化している。このため、傾斜ハウス内の温度環境も斜面によって大きく異なる。このため、新たに建設する傾斜ハウス内の平均的な温度環境がどのようになるかを知ることは、作物選定の際の重要な指標となる。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本モデルは従来の温室環境解析モデルを改良して、傾斜ハウス内部における平均的温度の時間変化を、地理条件を考慮して推定できる。モデルは、ハウス資材被覆面、ハウス床面、ハウス内の顕熱および潜熱の各々4つの熱収支式からなり,その出力として平均的なハウス内温度,ハウス被覆資材表面温度,ハウス床面の表面温度,を得ることが出来る。 2. 各季節毎に外気温(日最高・日最低・日平均)、太陽赤緯、大気の透過率をモデルへの入力パラメータとして任意に与えることができる。表1に今回の計算で使用した高松におけるパラメータの値を示す。なお、天候は快晴条件である。 3. 本モデルによる、傾斜角の異なる斜面と方位におけるハウス内気温の日変化について、冬の例を図1に示す。南向き斜面では傾斜角が増すほど日中のハウス内気温が上昇するが、北向き斜面では傾斜角が増すほど気温が低下する。また、東斜面と西斜面では、最高気温の出現が南面や北面に比べ各々早く(遅く)なることがわかる。 4. 季節と斜面方位によるハウス内気温の日変化について、傾斜角25度の場合を例に図2に示す。夏にはどの斜面方位でもハウス内気温の日変化に大きな差は発生していないが、太陽高度が低くなる秋から冬になるに従って傾斜方位による差が大きくなり、南向き斜面で最も大きな日格差を生じていることがわかる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本モデルによって得られた結果は、傾斜ハウス内に発生する温湿度の空間分布や空気の流れを予測する次のモデル(開発中)の入力値となる。 2. 本モデルでは、傾斜ハウスを密閉・無植生状態としているが、ハウス内の温度は、側面の開放状態や栽培されている作物の種類によって大きく影響を受ける。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 傾斜地 |