タイトル |
小麦「さぬきの夢2000」の施肥法と播種適期 |
担当機関 |
香川県農試 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
山田千津子
村上優浩
大山興央
大川俊彦
福島淳
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発行年度 |
2001 |
要約 |
小麦新奨励品種「さぬきの夢2000」は、基肥量を増加し、追肥時期を早めることにより、分げつ促進、穂数確保による収量性向上が期待できる。また、収量性確保の観点からみた播種適期は、凍霜害の危険性が低く、生育量の確保が容易な11月中旬である。
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キーワード |
小麦、さぬきの夢2000、基肥量、追肥時期、播種適期
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背景・ねらい |
讃岐うどんへの製めん適性に優れた小麦「さぬきの夢2000」は、栽培適性にも優れるものの、従来の「チクゴイズミ」並みの施肥水準下での収量性は満足のいくものではない。一方、これまでの製めん適性評価では、蛋白含有率が9%を超えるとくすみが出てめんの色評価が低下する傾向が見られている。このため、蛋白含有率の過度の上昇を招くことがない範囲で、耐倒伏性に優れる等の品種特性を活かした安定多収栽培技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 「チクゴイズミ」の慣行施肥量(基肥窒素5~6kg/10a、追肥窒素2~3kg/10a)に対し、基肥量を増やすことにより収量性は向上するが、施肥窒素が12kg(基肥9kg、追肥3kg)になると原麦蛋白含有率が9%に達する(図1)。
- 追肥時期が早いほど穂数が増加する傾向があり、1月中旬に施用すると多収になる。蛋白含有率は、3月下旬以降の遅い追肥で高まる(図2)。
- 単位面積当り穂数と収量の間には相関があり、基肥の増施や追肥時期の早期化によって、分げつが促進され穂数が増加することが増収につながる(図4)。
- 粘質土壌の三木町現地においても、基肥および追肥の増施により穂数が増加し増収する(データ省略)。
- 以上の結果、施肥水準は、倒伏し難く蛋白含有率が過度に上昇しない基肥窒素量7~8kg/10a、総窒素施用量(追肥を含む)9~11kg/10aとする。
- 播種期は、慣行(11月14日)に対し早播、遅播ともに収量が低下するとともに、ごく早播き(10月24日)では小穂不稔や幼穂凍死などの凍霜害が発生しやすく、また、播種期が遅いほど蛋白含有率が上昇する。このため、播種適期は11月中旬頃である(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 極端な増肥は成熟期の遅延や製めん適性の低下を招く恐れがあるので、施肥水準の設定にあたっては、上記施肥水準の範囲内で土壌条件等を考慮して調節する。
- 土壌の乾田化は、出芽および分げつを促進し穂数確保に最も有効となるので、播種前並びに生育期の排水対策を徹底する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
小麦
施肥
多収栽培技術
播種
品種
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