ウメ灰色かび病の収穫期における発生

タイトル ウメ灰色かび病の収穫期における発生
担当機関 和歌山県農林水産総合技術センター果樹園芸試験場
研究期間 2000~2001
研究担当者 大橋弘和
島津 康
米田義弘
発行年度 2001
要約 ウメ産地で2000年に広範囲に発生した収穫期の果実障害は、灰色かび病菌の感染によるものであるが、従来の灰色かび病と発病時期、症状が異なる。6月上中旬に低温多雨に経過すると発生する。
キーワード 灰色かび病、発生時期、ウメ
背景・ねらい 2000年6月中旬(収穫期)に県内のウメ産地で広範囲に発生した果実障害の発生原因を解明し、防除対策について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 収穫期に発生し、症状は、果実に生じる直径数mm~2cm程度の褐色同心円状の斑点で、輪紋状となるものもある。斑点部の果肉は深くまで軟化し、発生果はまもなく落下する。発生部位はほとんどが果梗付近である。これに対して従来の灰色かび病の病斑は落弁期に発生し、灰色~黒褐色円形斑点が拡大後落果するもの(進展型病斑)と、拡大が停止し、収穫期まで傷となって残るもの(停止型病斑)がある。発生部位は枯死花弁、がく付着部位付近である(図1)。
  2. 6月上旬に強風雨があり、その3日後が初発と思われ、その後急激に増加する。発病最盛期には1日の収穫果のほとんどに発生している園もある。6月下旬の発生状況調査により、落下果での発生は50%の園で認められ、広範囲に発生している。しかし、収穫後期のため、発生果率の平均は2.6%と低い(表1)。
  3. 障害果からは、90%の高い割合でBotrytis 属菌が分離される(表1)。
  4. Botrytis 属菌2菌株の接種により、付傷接種では両菌株とも、無傷接種では菌株No.1で症状が再現され、接種菌が再分離される。接種果実は、ほとんどが落果する(表2)。
  5. この菌は生育温度範囲、菌そうの性状、分生子の着生状況が標準菌株(農水省保存灰色かび病菌MAFF305539)とほぼ同じで、分生子の大きさは10~13×7~10μm(標準菌株8~14×7~11μm)であり、Botrytis cinerea と同定された。
成果の活用面・留意点
  1. 灰色かび病の収穫期の発病には気象要因が強く影響し、6月上旬に強風雨があり、その後数日雨、曇天が続き、平均気温が20℃程度に経過すると発生しやすい。
  2. 発生時期が収穫期であるため、防除薬剤は灰色かび病に登録があり、収穫前使用日数の短いことが必要である。このような条件を満たすものはクレソキシムメチルドライフロアブル(収穫7日前まで3回)のみで、本剤による5月末~6月上旬(収穫前)の防除が有効である。散布に際しては、安全使用基準(収穫前日数)に留意する。
図表1 219087-1.jpg
図表2 219087-2.jpg
図表3 219087-3.jpg
カテゴリ 病害虫 うめ 果実障害 障害果 発生要因分析 防除 薬剤

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