タイトル |
生分解性資材を利用した夏秋トマトの生育制御法【山口県農試】 |
担当機関 |
栽培技術部 |
研究期間 |
1997~2001 |
研究担当者 |
山本卓生
片川聖
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発行年度 |
2001 |
要約 |
トマトのセル成型苗直接定植において、生分解性フィルムを定植ポットあるいは根域制御シートとして利用することで、初期の生育を制御して安定栽培が可能になる。
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背景・ねらい |
夏秋トマト栽培で、育苗の省力・軽作業化のためセル成型苗の直接定植が求められている。水分コントロールの困難な水田転作圃場では、セル成型苗を直接定植した場合、初期成育が旺盛になり、着果不良になりやすい。そのため、初期生育を抑制し、生育を安定させる方法を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- ポットとして利用する場合、石油合成系由来の分解性フィルムである脂肪族ポリエステルフイルム・APE(商品名ビオマルチ)を2重で12cm~15cmポット相当分の用土を詰めて圃場に定植すると、分解までに約30日を要し、開花までの苗の生育はポリポットで育苗した株と同程度となる(表1、表2)。
- APEをポットとして利用する場合には、専用の冶具を作成すると定植作業が容易になる(図1)。冶具は径の異なる2個のパイプで構成され、12cmポリポットの容積を 800mLとすれば、円筒1は内径12.5cm高さ7cm、円筒2は内径12cm高さ8cmで縁部分漏斗状に広げておくとよい。なお、APEは35×35cmに切断すると12cmポット相当分の用土を詰めることができる。
- 根域制御資材として利用する場合、生分解性フィルムとポリエチレンの複合素材のマルチ(商品名ロータリーマルチ)を幅20cm×深さ10cmに埋設し根域制御シートとして利用しても初期の生育制御が可能である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- ポット利用の場合は散水型の灌水資材では灌水ムラが出やすいので、点滴式チューブ利用等の灌水方法を工夫する必要がある。
- APEのポット利用の1重では初期生育の抑制は不十分である。
- 今回砂壌土での試験であるが温度、水分条件等、栽培条件によって崩壊速度は若干異なるので注意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育苗
栽培技術
栽培条件
水田
トマト
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