遠赤色光域抑制フィルムによるイソトマの開花調節技術

タイトル 遠赤色光域抑制フィルムによるイソトマの開花調節技術
担当機関 (独)農業技術研究機構 花き研究所
研究期間 1997~2000
研究担当者 腰岡政二
鷹見敏彦
齊藤哲
発行年度 2001
要約 イソトマの親株を自然光下で管理し、挿し芽から鉢上げ後、遠赤色光域抑制資材下で一定期間栽培した後、自然光下に移動する方法で、4日から最大2か月程度開花を遅らせることができる。
キーワード 光質制御、イソトマ、遠赤色光、R/FR比、開花調節
背景・ねらい イソトマは初夏から秋にかけて開花し、鉢物、花壇苗として需要が高い品目である。本種は花芽分化要因が明らかでなく、開花調節は困難である。そこで、近年開発された自然光中の赤色光/遠赤色光光量子束比(R/FR比)を変化させる被覆資材(光質制御フィルム)を用いて、開花調節技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 親株は自然光下で管理する。
  2. 挿し芽は3月中旬とし、挿し芽後、M社製遠赤色光域抑制フィルム・YXE-4(R/FR=1.64、P=2.49)またはYXE-10(R/FR=1.62、P=2.65)被覆下で管理する。
  3. 挿し芽から約2週間後に鉢上げし、引き続き同フィルム下で管理する。鉢上げ1カ月後から順次、一般ハウス内(自然光下)に移動し、開花まで管理する。
  4. 遠赤色光域抑制資材が3月挿し芽のイソトマの生育に及ぼす影響を表1に示す。搬出区はいずれも全株開花する。これに対し、YXE-10連続処理区の開花率は53.3%、YXE-4連続処理区は60%となり、連続処理での開花率は低下する。
  5. YXE-10およびYXE-4は、いずれも搬出が遅くなると草丈、株幅とも大きくなる。また、搬出期が遅くなるほど分枝数が多くなり、着花節位も高くなる傾向が認められる。品質面を考慮すると、3月挿し芽の場合、光質制御下での管理は鉢上げ後7週までが限界である。
  6. YXE-10は搬出期が遅くなると順次開花が遅れ、無処理区に比べて4日~最大2カ月程度開花を遅らせることができる(図1)。YXE-4も同様に7日~最大2カ月開花を遅らせることができる(図2)。
  7. 本法は、特別な技術を必要としない、極めて簡便な方法である。
成果の活用面・留意点
  1. イソトマの花芽分化要因の解明に利用できる。
  2. 安定した効果を得るためには、自然光の影響を回避することが必要。そのため、自然光が差し込むハウスサイドでの栽培は行わない。
  3. 長期間のポット栽培は、下葉が枯れ上がるため、品質面で問題がある。
  4. 光質制御フィルムは、盛夏期を経過すると色素の劣化により、光質が変化することがある。そのため、少なくとも1年に1回フィルムを交換する必要がある。
図表1 219203-1.jpg
図表2 219203-2.jpg
図表3 219203-3.jpg
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