耐湿性台木を用いた水田転換園における「アサクラサンショウ」の枯死低減法

タイトル 耐湿性台木を用いた水田転換園における「アサクラサンショウ」の枯死低減法
担当機関 兵庫北部農技セ
研究期間 1996~1999
研究担当者 宗田健二
松浦克彦
石田博人
発行年度 2001
要約 水田転換園に植栽された「アサクラサンショウ」が、植栽後5~6年以内に枯死する主な原因は、降雨後の高地下水位による湿害である。そこで湿害に強い台木を検討した結果、フユザンショウが優れ、これを台木に利用することにより枯死の低減がはかれる。
キーワード アサクラサンショウ、枯死原因、湿害、台木、フユザンショウ
背景・ねらい 「アサクラサンショウ」は主に実サンショウとして生産され、嗜好の多様化によって近年需要が増大している。このため中山間地における地域特産物として取り組む地域がみられるが、従来のヤマザンショウ台では植栽後5~6年以内に枯死する樹が多く問題となっている。そこで、「アサクラサンショウ」の枯死原因の解明と台木による枯死の低減について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 「アサクラサンショウ」の葉の黄化・枯死は地下水位の上昇後にみられ、しかも地下水位の高いほ場で黄化・枯死の発生時期が早い。このことから、「アサクラサンショウ」が枯死する主な原因は高地下水位による湿害である(図1)。
  2. 台木の耐水性を評価するために、フユザンショウとヤマザンショウ(サンショウの野生種)について浸漬処理をおこなったところ、落葉はフユザンショウがヤマザンショウより明らかに少なく、フユザンショウは耐湿性が強い(表1)。
  3. 「アサクラサンショウ」を穂木とする接ぎ木親和性についてみると、フユザンショウもヤマザンショウと同程度の活着率を示し、接ぎ木不親和はみられない。また接ぎ木2年目の総新梢長および平均新梢長は、フユザンショウ台がやや長く、ヤマザンショウ台よりも樹勢がやや強い傾向を示す(表2)。
  4. ほ場でのフユザンショウ台による枯死率低減効果をみるため、フユザンショウ台とヤマザンショウ台の1年生苗を地下水位の比較的高い園に植え付けた。その結果植え付け1年目の葉の黄化・枯死率はヤマザンショウ台が約90%であるのに対し、フユザンショウ台は約10%であり、フユザンショウ台により明らかに枯死率が低減する(図1,2)。
成果の活用面・留意点
  1. 中山間地の比較的地下水位の高い水田転換園で活用できるが、暗きょや明きょ等の排水対策や、高うね栽培等を取り入れることが望ましい。
  2. フユザンショウはトゲが大きく鋭いため、接ぎ木作業や台芽かき時のケガに注意する。
図表1 219215-1.jpg
図表2 219215-2.jpg
図表3 219215-3.jpg
図表4 219215-4.jpg
カテゴリ さんしょう 湿害 水田転換園 台木 耐湿性 中山間地域 接ぎ木

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