施肥量の異なる稲醗酵粗飼料の第一胃内分解特性

タイトル 施肥量の異なる稲醗酵粗飼料の第一胃内分解特性
担当機関 広島畜技セ
研究期間 2001~2003
研究担当者 城田圭子
新出昭吾
長尾かおり
発行年度 2001
要約 多肥栽培では、稲発酵粗飼料(飼料イネWCS)中の粗蛋白質含量と、総繊維に占める高消化性繊維の割合が増加し、乳牛の第一胃内での繊維の有効分解度は大きくなる。
背景・ねらい 水田の高度利用と転換田を活用した自給粗飼料増産への期待から、飼料イネが栽培され始めている。同時にその水田は家畜糞尿の還元基盤としての期待も持たれている。しかし、飼料イネの品種や肥培管理の違いが飼料成分や分解特性に及ぼす影響については不明である。そこで、品種と施肥量の異なる飼料イネWCSが、乳牛の第一胃内分解特性に及ぼす影響を検討する。
成果の内容・特徴
    飼料イネ5品種(ホシユタカ、中国146号、中国147号、はまさり、アケノホシ)を供試し、それぞれ、施肥レベルを2区(標準区:窒素-リン酸-カリウム10-10-10kg/10a、多肥区:14-10-10kg/10a)で栽培した。出穂後27~30日で刈取り、約3ヶ月貯蔵したサイレージを材料として用いた。
  1. 乾物収量は、標準区が126.2~154.9kg/a、多肥区が135.1~176.6kg/aで、ホシユタカ、中国147号、アケノホシでは多肥で高い(表1)。
  2. サイレージ原料中の硝酸態窒素含量はいずれも100ppm以下と低い。
  3. サイレージ中のCP含量、分解性蛋白質(DIP)、非分解性蛋白質(UIP)、溶解性蛋白質(SIP)および結合性蛋白質(ADIP)含量は多肥区が高い(表1)。
  4. 総繊維(OCW)中の高消化性繊維(Oa)の割合は、いずれの品種も多肥区が高い(表1)。
  5. 乾物(DM)の有効分解度(dg)は45~50%程度、CPのdgは74~80%程度、OCWのdgは、19~25%程度で、品種間に差が認められる(表2)。
  6. 施肥レベル別では、DM、OCWの易分解性分画(a)割合とdgは多肥区が高い。また、CPのa分画割合は多肥区で低いが、dgには差がない(表3)。
  7. 以上のことから、多肥栽培することにより、飼料成分ではCP、Oa含有量が増加する。また、OCWのdgが大きくなることから、繊維の消化性の向上が示唆される。
成果の活用面・留意点
  1. 飼料イネWCSの給与において、粗蛋白質の第一胃内分解率を考慮した飼料設計に利用できる。
  2. 飼料イネWCSの繊維分解特性の基礎資料となる。
  3. 多肥栽培による病虫害、倒伏及びサイレージ発酵品質への影響について検討する必要がある。
図表1 219248-1.jpg
図表2 219248-2.jpg
図表3 219248-3.jpg
カテゴリ 病害虫 飼料設計 水田 施肥 乳牛 肥培管理 品種

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