タイトル |
カルスト台地の野草地における黒毛和種繁殖牛を用いた防火帯作り |
担当機関 |
山口畜試 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
高橋佳孝(近中四農研セ)
沢井利幸
池尻明彦
藤井宏志
白尾大司
鰐石征記
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発行年度 |
2001 |
要約 |
露岩の多い野草地においても、放牧及び電気牧柵を経験した牛を用いて、防火帯作りが可能である。
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キーワード |
放牧、野草地、電気牧柵、防火帯
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背景・ねらい |
野草地を管理する上で、火入れは山火事の防止、雑灌木の侵入防止等の役割を果たしている。しかし、火入れのための防火帯の設置は、これまで、人力による刈り払いによっていたため重労働で危険を伴なった。そこで、黒毛和種繁殖雌牛の放牧による防火帯作りを検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 秋吉台を想定したカーレンが多く点在する野草地の火入地0.5haと周囲2.2ha(防火帯幅平均20m、林地0.8ha含む)に電牧(1段張り、高さ90cm)を設置し、黒毛和種繁殖雌牛を5~12頭を用い、2月中旬の火入れを目標に平成12年8月11日~平成12年12月1日まで連続放牧を実施した。供試牛は、放牧経験豊かな黒毛和種で、衛生対策として毎月殺ダニ剤を滴下した。なお、放牧期間中、1頭当たり1kg/日の濃厚飼料を給与した。飲水施設は、国定公園秋吉台は飲水の確保が困難であるため、農業用500Lタンク2個と200Lコンテナにフロートを組み合わせたものを使用した。
- 国定公園秋吉台で実施されている人力による防火帯設置の労働時間は、聞き取り調査した結果、長さ1km、幅6mの試算値で60時間/人である。
- 電気牧柵(電牧)の設置に要する労働時間は、長さ1km・幅20mの防火帯に換算すると、牧柵総延長2,040mで19時間/人を要する(表1)。また、資材経費は、電牧器2台×75,600円、電牧線2,040m×18.4円(1段張り)、ポスト(5m毎)408本×410円で合計356,016円となる。
- 野草地の優占草種はススキとネザサで、放牧開始時9カ所の平均草丈、生草収量は、99cm、1,450kg/10aで、放牧終了後は放牧地11カ所の平均で23cm、69kg/10a、火入地6カ所の平均で91cm、1,365kg/10aである(図1)。また、冠部被度は、放牧開始時は100%であったのに対し、放牧後の放牧地は47%である。
- 放牧開始からのha当たりの月別放牧頭数は、8月、9月、10月、11 月でそれぞれ7.1、7.1、4.0、2.8頭/ha・日で、放牧4カ月間に500kgの黒毛和種雌牛で、延べ1,111頭の放牧が可能である(図2)。
- 火入れ直前の可燃物量は、1m2 当たり平均乾物量で放牧地9カ所、火入地6カ所の平均で、立ち枯れ野草で放牧地0.05kg、火入地0.68kgであり、枯れ草堆積物で放牧地0.31kg、火入地1.00kgであった(図3)。
- 放牧試験終了後火入れを実施したところ、防火帯としての効果が認められた。
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成果の活用面・留意点 |
・放牧経験牛、電牧及び飲水を確保できれば連続放牧によって防火帯作りは可能で、特に露岩等の障害物の多い野草地では効果的である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
繁殖性改善
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