タイトル | 単軌条運搬機システムの棚田への導入と散布作業への活用 |
---|---|
担当機関 | (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 1999~2002 |
研究担当者 |
亀井雅浩 吉田智一 石田茂樹 窪田潤 前岡邦彦 土屋史紀 池田彰美((株)ニッカリ) |
発行年度 | 2002 |
要約 | 単軌条運搬機システムは、軟弱地等での補強対策を行うことにより、現行の施工基準に基づいて棚田への導入が可能である。乗用台車の連結、簡易クレーンの装着、動力散布機の搭載により、積みおろし作業、散布作業が軽労化できる。 |
キーワード | 単軌条運搬機、棚田、散布作業、軽労化、水田畦畔 |
背景・ねらい | 近畿・中国地域の中山間地において水稲は最も重要な作物であるが、労働力の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の拡大が進み、農業生産の維持、国土保全等の面で問題となっており、棚田における稲作の省力化、軽作業化、安定生産技術の確立が求められている。そこで、果樹園等に導入されている単軌条運搬機の軌条を水田畦畔等に架設する場合の条件を調査して架設基準を策定するとともに、本運搬機を利用して水稲栽培管理作業の省力化、軽労化を図り、耕作放棄地の拡大を防止して、棚田を生産基盤として維持することに資する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 棚田への軌条の架設は、水田の形状や周辺部の地形、ポイントの配置等を考慮して、果樹園等の施工基準に基づいて行う。水田畦畔部の軌条の設置高さは、単軌条運搬機の走行に支障がない約0.4mで、畦畔天端と平行に設置する(図1)。 2. 水路の周辺部等軟弱地への敷設は、工事前に土壌硬度を測定し、水平荷重294Nに対する軌条の変位量が基準値(設置高さ0.4mで5mm)以下になるように、補助支柱を増やす、補助金具を挿入する等の対策を行う。特に、ポイント、跳ね上げ部等軌条の取り外しがある部分は、支柱が変位しないようにターンバックル等で固定する(図2)。 3. 抑草網目シート(ポリ製、幅1m、網目0.4mm)を支柱周囲に敷設することにより(図1)、雑草を生存させながら抑制することが可能で、法面の崩壊を防ぎ、草刈り作業労力が軽減できる。 4. 軌条を水平に架設する割合が大きいため、架設工事は比較的容易に行え、ポイント及び跳ね上げ部各1カ所、5カ所の90°カーブを含む長さ100mの例では、4名の組作業として約2日で架設可能である。 5. 運搬台車に電動式簡易クレーン(最大吊下能力:300kg)を装着することで、歩行用動力散布機など小型機械、資材等の積みおろし作業の軽労化が図られる(図3、表1)。 6. 水稲栽培管理作業の施肥、湛水散播、除草剤散布、殺虫殺菌剤散布に利用でき、乗用台車を連結しているため、散布作業時の心拍数の増加は小さく、労働負担が軽減される。作業速度は約0.75m/sで、散布作業能率は40~60a/hである(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 大型機械が導入できない小区画水田が団地化している棚田地帯に適用できる。 2. 単軌条運搬機への乗降や小型機械、資材の積みおろしを行う場所は平坦な所にする。 3. 軌条の端部は道路と平行になるように設置し、運搬機や作業機の保管場所を確保することが望ましい。 4. 耐久性については、軌条等の架設後4年間、抑草網目シートは2年間しか調査していないので、さらに継続調査が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 軽労化 栽培技術 雑草 省力化 除草剤 水田 水稲 施肥 中山間地域 |